日本語のセリフはたどたどしいところがあって、当時は日本語で教育していたのだから本当ならごく流暢だったろうと思うが、聞き取れないというよくある技術的ミスはない。アドバイザーがきちんとついていたのだろうか。
甲子園での決勝戦の趣向などまるっきり「巨人の星」ではないか。知ってて真似しているのだろうか、やはり。ちょっとムリな感じがするのも一緒。
永瀬正敏がいつのまに指導者側に来ているのに感慨あり。
パパイヤの育て方で象徴的に語られるが、やみくもな根性論ではなくストレスを与えることと取り除くことの両輪できちんと筋道をつけてやるといった指導法で、若いと自然にどんどん伸びていくのが、出演者たちの若さと重なって気持ちいい。
冒頭に出てきて随所に嘉儀農林高校野球部の跡を見て回る男が誰なのかと思ったら、甲子園で嘉儀農林に負けた札幌農林のエース、というのがわかってきて、複眼的な視点を導入する。八田与一の登場も、今テレビで大流行りの海外で感謝されている日本人であるとともに、日本でいう「お雇い外国人」を描くことで台湾のアイデンティティを検証するといった意味合いもあるのではないか。
日本の植民地支配のマイナス面を描いていないといった公式主義的批判もあったらしいけれど、植民地になっていること自体マイナスではない。
客席はほぼ満員、なのはいいけれど年配客ばかりで若い人がほとんどいない、というのは気になった。
予告編などで「凱旋」ロードショーとあったけれど、凱旋ってなんでしょうね。
(☆☆☆★★★)
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KANO~1931海の向こうの甲子園~@ぴあ映画生活
映画『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』 - シネマトゥデイ