ともさかりえが新卒で会社の面接に行き、そこで面接官を務める緒形拳に今だったらパワハラ、セクハラそのまんまの質問を受けて憤慨し、同棲中のいしだになんとかいろと訴えるところから話が入っていくのが時代が出てます。
しかし、会社に入ってからだったら訴えようもあるのだろうが、入る前だったら今でもハラスメントはどんなものだろうか。
かつては社内で威勢良く肩で風きっていたの緒形拳が落ち目になって、それだけにひねくれて権柄づくになっているのをだんだんわからせていく語り口が毎度のことながら巧み。しかもいざバックがなくなってみると仕事の仕方も驚くくらい甘いのがわかるのが、鋭いところ。
音楽が「エスクアロ」などアストル・ピアソラの曲を使っている。ちょうどヨーヨー・マによるピアソラの「リベルタンゴ」カバーがサントリーのTVCMに使われて、ピアソラがポピュラーになってきた時期ということになるだろう。
登場人物全員が集まってピクニック風になるのが山田太一のドラマのひとつの終わらせ方で、ここでも全員集合するのだが、窓の外でヒッチコックの「鳥」みたいに不気味に烏が集まっているのを大声を出して追い払う、という異様な結びになっているのが、何か予感的。
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