正面きってスマトラ島沖地震によるタイのプーケットに襲来した大津波を映像化していて、そのリアルなことに息を呑む。
2013年6月14日公開。東日本大震災から2年以上経っているから公開できたのだろうけれど、かといってその後日本でこういう正面きった映像化が試みられたわけではない。もちろんリアルに映像化したところで実際の被害には及ぶべくもないわけだろうけれど、そういう判断からではなく単に臭い物に蓋をし続けているだけという気もする。
それに、今の映像技術だとやはりどんな「実写」よりも体感として「リアル」な映像を作れてしまうのだとわかる。
もとよりこの映画にしても現地の人間ではなくイギリス人一家を主人公にしているわけで、よそものが他人の不幸をネタにして、という批判は免れないだろうけれど、ちょっとその手の当時者のことは他人にはわからないという事実を痛みとともに伝えることすら、あたまからバリアを作って寄せ付けない口実になっている気がする。
もちろんこの津波の被害の傷は映画が扱った期間の後もずっと続くのだし、そういう批判もできるのだが、そういうネットで跋扈するしたり顔の批判にはいささか飽きてきた。
映画の内容そのものより、周辺的なことばかり考えて見るのもなんだが。