チャカとシャブ、どっちが大事なんですかって、ほとんど「キャッチ22」のようなむちゃくちゃなロジックの世界。
東映の映画館でかかっているのが昔の「県警対組織暴力」あたりのムードと重なってきてくるが、軽く笑えるのが今風。あれほど熱っぽい情念の世界ではない。
綾野剛がブイブイ言っている間はかなり年月が経っているのに歳をとらないのに、落ち目になるとがくっと老け込む。編年体とは別の時間の流れ方をしている作り。
犯人が払い腰で路上で投げ落とされるシーンがいくつもあるが、ケガしないかとひやひやした。ああいうシーンでも安全にこなせるやり方があるのかな。
主人公が酒が飲めないという設定が、適当に発散できず融通が利かずやたら一所懸命に働いてしまうのにも、シャブに手を出してしまうのにもつながるようで巧妙。
潜入捜査していて耳が潰れているのを疑われるシーンがあるが、ヤクザって意外と格闘技を習っていたりするものではないのかな、と思った。凶器を使うより素手を使った方が懲役が短くて済んだりするらしいので。
考えてみると、主人公は危ない橋を渡っている割に儲かっていない、というか持ち出しになっているのがただの腐敗警官とは違うところ。
一番悪いやつはよく寝ている、というモチーフは不幸にもずうっと昔から通用している。
さらに現実は続きがあって北海道新聞の報道を警察が潰しているのだから、そっちでも一本映画ができそう。しかしよく作ったと思う。これからちくちく嫌がらせされそうだが。
(☆☆☆★★)
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