晴雨というとまず責め絵というのが相場だし、宮下順子、山谷初男主演、田中登監督、いどあきお脚本の映画「発禁本「美人乱舞」より 責める!」がすこぶる印象的だったせいもあり、やや意外の感とともに見ることになった。この展覧会を進めたジブリの鈴木敏夫の言でも、晴雨に幽霊絵という印象はなかったとある。
責め絵はここでは展示していなかったが、風俗画でいくつかあるできりきりと縄で縛りあげられた女囚の絵などは事実を伝えるのが目的だが明らかにそういうテイストがある。
幽霊画そのものは、皿屋敷とか牡丹灯籠といった元ネタがはっきりしているものもあるが、物語の挿絵といった感じではなく、その場にあるものをスケッチしたような臨場感と勢いがある。これが生首をくわえた狼(幽霊関係ないだろ)となると、もっと生々しい。
幽霊だから足はないのがリアルとは違うのだが、そういう約束事はきちんと守るというのが売り絵画家としてのルールだったような感じもする。
展示物はすべて五代目小さん師匠のコレクションをもとにしているというのもびっくり。
伊藤晴雨 幽霊画展「幽霊が美しい-スタジオジブリ鈴木敏夫の眼-」