不寛容に対して怒り、というやや抽象的だが生々しいモチーフ。
真犯人がわかって後のが関係なくなるか、というとそうではないので、それぞれ定住できない事情を抱えた人間と、それに対する生活者の側がともに抱えた鬱屈、やり場のなさから来る怒りという点で結びついている。ただ、着地とするとやや足元がふらつく感じはある。
カットバックが、それぞれ別々の場所と人間たちを交互に見せるという以上の、シャッフルされたイメージを新しく生み出している
手配写真がそれぞれの容疑者(松山ケンイチ、森山未来、綾野剛)のどれにも似ているように出来ているのは上手い。
ゲイが母親に対して子孫を残せないという後ろめたさを感じるというのは、吉田修一の初期作品「最後の息子」にもあったモチーフ。かなり一般的な悩みなのかもしれない。
沖縄の少女暴行シーンにしても、肉体に何ものかが刻み付けられる生なましさがある。
(☆☆☆★★)
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