劇場未公開で国内DVDもなし。
宇宙から来た生物に取り憑かれた人間が自分の意思を失って操り人形になるというストーリーは、原作が書かれた1951年が米ソ冷戦下で共産主義者によって洗脳される恐怖の反映だと言われ、同じ時期(1955)に書かれたジャック・フィニイの「盗まれた街」(The Body Snatchers)とモチーフは共通している。
その「盗まれた街」の2度目の映画化「SF ボディスナッチャー」の主演の(邦題はこのあたりから来ているのだろう)ドナルド・サザーランドをここでも主演に迎えているのはわかりやすいというか、悪く言うと一種見え透いた感じ。
「ボディスナッチャー」「遊星からの物体X」みたいに見かけはまったく普通の人間と見分けがつかないわけではなく、いささか目立ちすぎるくらいわかりやすい体裁なので、誰が取り憑かれているのかというサスペンスは薄い。
期待値低かった分、割と楽しめたが、後になると類似作と比べたりしていろいろ不満が出てくる、そういう出来。
時代設定を原作とはずらして映画化当時(1995年)に合わせて現代化しているようだが、携帯もPCもなしでこれはこれで時代の違いを感じさせる。
「人形つかい」の造形はまだCGではないよう(「ジュラシック・パーク」が1993年)でこれまた今ではほとんどレトロに映る。
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