prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「歌声にのった少年」

2016年10月14日 | 映画
パレスチナのガザ地区という貧しく抑圧された環境で育った少年ムハンマド・アッサーフが恵まれた歌の才能を生かしてアラブ人代表として世界的な名声をつかむという絵に描いたような実話ネタのサクセスストーリーなのだが、タイトルがアラビア語と英語の併記になっているように、作り方がサクセスストーリーを踏襲しながら微妙に見慣れたものと違っている。

クライマックスが典型で、普通だったら不安と戦う少年→不安を振り払って熱唱→大ウケ→結果発表でまたドキドキ→優勝、万歳という流れになるのだが、この「熱唱」と「優勝、万歳」の部分がそれまで演じていた俳優ではなくて、いきなり実物のムハンマド・アッサーフになってしまうので、アレということになる。

実話ネタの映画でエンドタイトルで実物が顔を出すというのは珍しくないが、クライマックスで早漏れしてしまうというのは珍しい。それだけこの人が偶像(英語タイトルはThe Idle)として重要なのかなと思わせるが、正直やや見ていて当惑する。
違う文化的文脈というのがあるのだろうな、と思った。

そうしたフォローが音楽そのものの盛り上がりを削いでしまっている感もあるのが残念。
ガザ地区のロケ(世界初だとか)による、子供たちが遊ぶ路地が舗装されておらず土がむき出しになっている感じとか、すごい敏捷に走り抜けていく映像そのものが状況の厳しさとそれに負けない活力を語っている。

歌声にのった少年 公式ホームページ

歌声にのった少年|映画情報のぴあ映画生活

映画『歌声にのった少年』 - シネマトゥデイ



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10月13日(木)のつぶやき

2016年10月14日 | Weblog