あそこで「ゾーン」ができた理由の仮説の一つとして隕石の落下があること、二つの世界がずれながらだぶっている構造からだ。
あと当然3.11以後現実になったカタストロフが来てしまった後の感覚も「ストーカー」は予見していたからでもある。
「シン・ゴジラ」のカタストロフ以後の感覚を持っていたけれど、近年のメガヒット映画がともに突然災いが襲ってくるという感覚が裏に貼りついているのは、当然偶然ではないだろう。生者と死者が平行して存在するあたりは能楽を思ったりした。
死と再生が同時並行で展開するようで、それが抽象的な観念より一定の生活感と周囲とのつながりの描写の上に成り立っているので、画面がなんだか気恥ずかしくなるくらい美麗だったり、ぶつぶつしたナレーションの割には上滑りしない。動きのつけ方が見事なことが大きいか。
襖や電車の自動ドアが開け閉めする映像がちょっとしつこいくらい何度も挿入されるのが、二つの世界が繋がったり離れたりするのに見合っている。これまた突飛な連想だが大島渚の「マックス・モン・アムール」や遥か昔の五所平之助の「兄とその妹」でしきりと扉や襖を開け閉めして独特の様式感を出していたり、市川崑の金田一もので襖を閉めると必ず着物がはさまったりするのを思い出したりした。日常にあるものを様式化する手のひとつというか。
「転校生」と「時をかける少女」というジュブナイル映画二本をぬけぬけとくっつけた感あり。
やたらと色々なものを思い起こさせる映画なのだね。
細かいところで気になったのは、停電すると祭りに出ている屋台まで電気が消えてしまうこと。屋台って、自家発電でやるものではないではないだろうか。
(☆☆☆★★)
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