prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「悪魔の美しさ」

2017年12月29日 | 映画
ルネ・クレール監督、ジェラール・フィリップ、ミシェル・シモン主演のファウスト伝説をもとにした1951作。

フィリップのノーブルな二枚目ぶりというのは空前にしてまあ絶後だろう。初めはシモンが老いたファウスト博士を演じてメフィストフェレスがフィリップの姿を接近し、途中から若返ったファウストをフィリップが、メフィストをシモンが演じるようになる。
この役柄の交換自体が風刺的で、結末の悪魔より人間の方が恐ろしいというセリフにつながってくる。第二次大戦が終わってわずか6年後とあっては実感だったのではないか。

こういうルネ・クレールの得意とする風刺は毒々しいブラックジョークにも麻痺しがちな今だといかにも品がよい。
ファウストが錬金術を成功させて金をばらまくというのも科学と経済が世界を支配していく予感があったのだろう。

白黒撮影も美術もいかにも往年の名作という感じ。




12月28日(木)のつぶやき

2017年12月29日 | Weblog