なんで気になったかというと、特にサイパンでは現地人の可能性もあるから。
ベトナム戦争の凄惨な戦場写真に比べると、凄惨さより、兵士が水筒から水を飲んでいたり手当を受けていたりといった周辺的な場にカメラを向けている印象。
工場のしばしば働いている人の顔が見えない、場合によっては人が写っていない写真でも、そこにいる人の厳然たる存在感を感じさせる。
医者や助産婦といった生命と直接向き合う仕事を捉えた一連の写真が表わすてらいのない仕事と生命に対する敬意。
雑誌「ライフ」で名声を得た一方で、編集方針とも妥協せずしばしば衝突したことが順を追って紹介されている。
シュヴァイツァーを捉えた一連の写真が並ぶのを見て、彼がアフリカで医療活動に従事したヒューマニストには違いない一方で黒人を一段下の存在として見ていたことも否定できないわけで、その点で今の国境なき医師団などは彼のことをどう思っているのだろうと思った。
水俣の写真で、ひとつひとつ写っている患者の名前がタイトルに出ているようの「患者」という包括的な捉え方ではなく、それぞれ違う人間であることを忘れていない。
生誕100年 ユージン・スミス写真展 公式ホームページ
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