舐めてた相手が殺人マシーンでしたもの、なのだけれど、最初の殺しに至るまでが結構長い。
極端に短いカットを積み重ねて主人公の単調な生活を綴るわけだが、リアルなようで妙に悪夢的。
声だけの仲間と会話するあたりの描写もデフォルメが入っている。
最初の大暴れで超人的な強さを発揮する一方で相当ケガもする。このあたりのリアルさの配合を足したり引いたり色々変えているのがとにかく強いのとも日常的なのともどっちともとれるキャラクターに仕立てている。
タイトルの由来というわけだろう。
この手の映画だとたいてい特殊部隊とか諜報組織出身という設定なのだが、あまりはっきりさせていない。
いずれにしてもそういうのは口実でありえない大暴れを見せるのが眼目ですからね。
マイケル·アイアンサイドが初め誰だかわからないくらい太って老けて出てきたのにびっくり。
クリストファー·ロイドの使い方はどんなものだと作り手が鼻をうごめかせている感じ。
音楽の使い方が対位法的というのか、「見果てぬ夢」とかスタンダードナンバーがスイートに流れる中で血飛沫あがる銃撃戦が描かれる手が多用されるのが、ブラックユーモア味あり。
ロシアン·マフィアは悪役の定番になっているけれど、黒人のロシア人というのは珍しい。
監督のイリヤ・ナイシュラー自身がロシア出身なのね。前に最初から最後まで
疑似ワンカットの「ハードコア」というのを作っていたが、今回も持続的なカットを好んで使うよう。