prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ウルフウォーカー」

2021年07月15日 | 映画
アニメの画で一番魅力的なのは最初に鉛筆で描いた原画で、トレースして線を整えて輪郭の中を色を塗るとどんどんつまらなくなる、という意味のことを言う人は高畑勲をはじめとして多い。

封切り日までに完成できないで未彩色だったり鉛筆描きのままだったのと未完成の画のまま出してしまった「ガンドレス」で、不手際を詫びて配給側が完成品のビデオを後で配ると申し出たら封切った未完成品の方が欲しいなんて意見が出たらしいが、ありそうな話。

高畑勲は自ら手描きの線の魅力を生かした(のでとんでもない手間と費用を要した)「かぐや姫の物語」を監督したわけだが、この「ウルフウォーカー」も手描きのかすれや不明瞭なゆらぎを大幅に取り入れている。

狼と人間が同居している世界というのはいかにもアイルランドらしい世界観だし、アニメで描くのにふさわしくもある。