日本が実際に70年代からの辿ってきたのとは違う現代史を設定したのが工夫で、三億円犯人が逮捕されていたりする偽史に交えて小渕官房長官(当時)が「平成」という元号を掲げたお馴染みの映像を交えて虚実を混淆している。
その上でコールドスリープやタイムマシンなど実際には存在していないストーリーには欠かせないガジェットを混ぜてくる仕掛け。
60年前から見た未来を設定した原作を今の日本に移す作業で、原作にとっての未来すらも過ぎてしまった現在から見ると微妙に過去になっていて、1995年の場面にパソコンではなくワープロ専用機が置いてあったり、2025年という今から見た近未来でタクシー初乗り料金が450円という微妙に近いとか、受付の女子が二人まったく同じ顔をしているところなども妙に今の現実にかぶるという細かいところは楽しめた。
前段の共同経営者たちの陰謀の巡らせ方とか主人公が敵の前で手の内を明かしてしまう迂闊さとか、細かいところがいちいちひっかかって大丈夫かと思うと、近未来になって藤木直人のロボット演技が絡むとやや調子が出てくる。
ハインラインの原作は叙情性で特に日本で人気があるわけだけど、いかになんでもセンチメンタリズム過剰で、ネコの扱いもいささかくどい。
誰とは言わないが、見ていられないくらいひどい芝居があちこち見られる。この人、こんなにヘタだったっけと思うレベル。
原田泰造の妻が出てくるところで、髪型とか横顔の感じが清原果耶に似ていて混乱するのはどんなものだろうか。髪型くらい変えたらどうか。