「陽のあたる場所」の西部劇版といった内容。
つまり貧しい青年カウボーイが牧場経営に成功して金持ち階級に入っていく時に金を出してもらっていた酒場女(というか元売春婦)と、金持ちの銀行家の姪の板挟みになる。
役者でいうとこの貧しい中から酒場女を経て小金持ちの囲われ者になっている役のリー·レミックが光る。
グリーンのドレスを着て現れて青年を家に招き入れた後、二階に行って着替えるあたりの衣装の変化からリチャード·フライシャーの演出も乗っている感じで、随所にみられる複雑な動きの柴井を一筆書きのようなワンカットで納める中の演技の緩急も見事。
昔の映画ということもあってガンファイトで血も出ないが、かえって一気に決着がついてしまうスピード感がある。
縛り首の場面や、レミックが殴られた顔を見せるまでさりげなく反対側から撮っておいてアップで見せるまでの素早い残酷さ。
決斗と日本題にはついているが(原題はThese Thousands Hills)、撃ち合いの決闘ではなく泥まみれの殴り合いなのが、文字通り泥にまみれた人生のメタファーになっている。
主人公の親友で共同経営者になるスチュワート·ホイットマンが濃い顔立ちが陰影のある役柄に合っていていい。