イタリア映画伝統の大きな魅力であるセットから衣装、メイクに至る美術的なレベルの高さを堪能する。
マッテオ⋅ガローネ監督作というと「ゴモラ」「ドッグマン」のリアリズム路線の印象が強かったが、フェリーニが初期のネオリアリズモから奇想とデフォルメに移行したのと同様、特異なキャラクターのデフォルメが全編を覆う。
さらにピノッキオの木肌のマチエールの表現などデジタル技術なしにはありえなかったであろう表現で、アナログの作り物感にこだわったフェリーニの映像造形とは別の新しい表現を付け加えた。
考えてみると、ピノキオの原作ってちゃんと読んだことなくて、ディズニーによるアニメ化(ディズニーの長編アニメとしては二作目)の印象が強い。
原題はシンプルにPinocchio。
「ほんとうの」とつくと「ほんとは怖いグリム童話」の類みたいだが、このディズニー版で十分に怖かった。
その意味では新解釈やルーツ探し的な目新しさはそれほど感じなかった。今から原作読んでもいいかもしれない。