軍隊内の刑務所にやってきた問題があるとされた兵士たちを、急角度に土を盛った「丘」を背嚢を持たせて上がっては下り、下りては上がりというまったくムダな労力の使い方をさせる。
兵士にとってムダなのはもちろんだが、軍にとっても戦力上プラスになることは何もない。「敵」に勝つためにより合理的な運営をするより内部の統制と権威の保持が優先させるために、ただ兵士たちを従属させ意思を挫くことを 自己目的化した組織であることを端的に示す。
一方で抑圧される兵士たちの方も、特にラストでどうしようもなくバラバラで結集して抵抗することはないのがやりきれない。同時にこれは軍隊だけの話ではないのが典型的にわかる。
ショーン・コネリー主演で、シドニー・ルメットとは「怒りの刑事」「ショーン・コネリー 盗聴作戦」「ファミリー・ビジネス」「オリエント急行殺人事件」ど組んでいるのだが、どれもヒロイックなところがない役どころ。
ハリー・アンドリュースが「フルメタル・ジャケット」のハートマン軍曹的な役どころで終始兵士=囚人たちを罵倒し威圧し続ける。国も時代も問わず軍隊とはこういうものなのだと思わせる。
原作はR.S.アレンの舞台劇だが、奥行きを深く撮った画面作り(撮影・オズワルド・モリス)で舞台くささはまったく感じさせない。