ここに出てくるウィリアム·フリードキンその人の人物像は作品のイメージそのまんま。
まず、容赦ない。
徹底して描く対象を調べて、実際にその仕事に携わる人たちに密着して根掘り葉掘り聞き出すというあたり、テレビ出身というのを思い出させる。
ズービン・メータがインタビューを受けているのはなぜだろうと思ったら、フリードキンが演出したオペラの指揮をしていたのだった。
映画での音楽の使い方はおそろしく即物的なのでオペラの贅沢なイメージと結びつかないのだが、どんな演出だったのだろう。
「LA大捜査線 狼たちの街」の偽札作りのシーン、考えてみると本当に偽札を作っているので警察が踏み込んで来やしないかひやひやしたというウィレム·デフォーの証言は笑わせる。
デフォーが金玉を撃った(この痛そうなこと!)男に止めをさすところで手にしたアフリカの彫刻をダサいと貶したら、フリードキンの私物だったなんてオチがつく。
エイゼンシュタインのスケッチや浮世絵など、かなりの美術コレクターのよう。
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