東京国際映画祭にて。
タイトルのチュルリは、舞台になるインド最南端のケララ州の山奥の村の名前。
そこに逃亡犯を追う二人の刑事がやってくる長い描写から始まる。
えんえんバスに揺られて乗り合いジープに乗り換えて、「恐怖の報酬」の小型版みたいな丸木橋をひやひやしながら渡るといった描写の積み重ねとモヤのかかった森の映像から、どれだけ人里離れているのかを印象付ける。
二人は犯人が潜伏しているらしい農場で働くという触れ込みで村に潜入するわけだが、その農場主がちっとも帰ってこないもので食堂みたいな場所で働いて待つ、というのがすでになんだか可笑しい。
宇宙人みたいなのが現れたとか、前に来た刑事は生きて帰れなかったとか本当かウソかわからないようなことがもっともらしく語られ、加えてイメージカットが唐突に挟み込まれてますます刑事たちの意識も見ているこっちの混濁していく。
冒頭に謎めいたエピグラフと神話のアニメが掲げられるのがラストでつながってくるのだが、なんともいえないぶっとんだ展開に唖然とする。
「ジャッリカットゥ 牛の怒り」のリジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ監督の新作だが、どういうアタマの構造しているのかと思う。