なんでもないように撮っているが、ベン・ジョンソンがナヴァホ族から逃げて整地もしていないでこぼこした広野を疾走するあたり、よほど騎手としての腕と馬の訓練がないとできないのではないか。
それを言い出すと人を寄せ付けないような広野を幌馬車隊が進む光景自体、「アギーレ 神の怒り」とまではいかなくても、相当過酷な場所に大勢が荷物を抱えて分け入っていくロケは当時(1950年)西部劇がコンスタントに作られていたから可能になったので、いま頭から再現するとなるとほとんど不可能ではないか。
幌馬車隊に強盗一味が紛れこむなどそのままサスペンスドラマになっておかしくないのだが、ごくあっさりした撃ち合いで片がつく。
開拓期にはこういう危険と隣合わせなのが日常なのだといでもいった淡々としたタッチ。
ジョン・フォードとしては小品だし大スターも出ていないが、それだけに普段着の仕事をしている感じ。