prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「五番町夕霧楼(1963)」

2024年11月25日 | 映画
メインタイトルで早めに監督の田坂具隆と撮影の飯村正彦が二人並んでクレジットされ、最後に「そして」「佐久間良子」と締めくくられるのには驚いた。「そして」って何ですか。
いかに佐久間良子を売り出すのに力を入れていたかがうかがわれる。

クライマックスにあたる河原崎の吃音の見習僧が金閣寺に放火して火の手が上がるのを直接描かず、佐久間が誰がやったのかうすうすわかっていて火事を見ている姿で代えたあと、木暮実千代以下の女たちの会話に移って、佐久間は出てこなくなる。

佐久間に口止めされていたことを河原崎に言うのが木暮だからその分のうしろめたさも込めていたのかもしれない。
もとより木暮は立場からすると水揚げの四割を天引きする女将という悪役になっていてもおかしくない一方で遊女たちの面倒をみなくてはいけない立場でもあるわけで、千秋実の水揚げする無責任な客とは対照的。

さるすべりの赤い花の使い方が印象的。