伏線というかパズルのようにエピソード間の対応関係を編むのが丹念すぎてややうるさく感じるきらいはあるが、思いがけない結びつきに驚かされる。
中村蒼がいまどき満員電車の中でカバーをかけた文庫本を読んでいるのが珍しく(私もやっているが)、あとでそれが思いがけず役に立ったりする。
水路や川に隔てられている場面が多く、それが逆に人と人の間を半ば偶然のようにつながっていないようでつながっていることを想像させる。
亡くなった藤間爽子のスマートフォンに黒木華が送るLINEメッセージを、西田尚美が見ているのだから「既読」がついているはずだが、それを特に強調しないのがいい。