prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「search サーチ」

2018年11月08日 | 映画
終始、パソコンの画面だけで進行するということは知っていたので、見通すのはキツいのではないかと恐れていたか、出だしですぐ安心する。

PC上にいくつものウインドーが入れ替わり立ち代わりして現れるのだが、通常の映画のカット割りか、マルチスクリーンの延長線上にあるような見やすい組み立てになっている。
その上で、文字が打ち込まれたり逡巡するようにバックしたりするのがまた父親の心情の表現になっていたりと、PCの画面の操作自体が一種の表情を見せる。
斬新であると共にとっつきやすい。

冒頭で娘が生まれたあたりで使われているPCはWindows XP(かな?)なのが、現代ではMacになっている。映画自体の作り手がMac派なのかななどと想像したりした。

主演とその家族が東洋人というのは、別にそうでなくてはいけない理由はないので、ふつうにアメリカの中産階級の市民という扱いだろう。
エンドタイトルにRessia crewと出るのであれと思うと資本にロシアが入っているらしい。

誰が犯人なのかという疑いがあっちこっちに飛ぶ展開は海外ドラマにあるようなめぐるましさ。

「search サーチ」 公式ホームページ

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prisoner 作品集

11月7日(水)のつぶやき その2

2018年11月08日 | Weblog

11月7日(水)のつぶやき その1

2018年11月08日 | Weblog

「ハナレイ・ベイ」

2018年11月07日 | 映画
ハワイが舞台で、セリフの多くが英語ということもあって、村上春樹が英語圏に長く暮らし、アメリカ文学の強い影響のもとにあることを改めて思い、同時にかなりサイレント映画的なセリフに頼らない表現に向っている。

息子を亡くした母親の心情という日本の風土でじめじめしたタッチでやろうと思えばいくらでも心情過多にできそうなモチーフだが、ハワイの風光明媚な風景の、あまりにすかっとクリアに見えるのが空虚感喪失感を感じさせる。

吉田羊が英語のセリフ、ピアノの演奏などのハードルを楽々とクリアしている(ように見える)上に、ただ本を読んでいるといった何もしないでいるのに等しいところで何もしないことに徹している、その何もしないでいられるのが表現として強い。

フラッシュバックで息子や夫との経緯が語られるのが説明的でなく最低限で切り上げるのがいい。

後半、怪奇譚に寄るあたりで海の上に見えるサーファーが片足なのではないかとか余計な気をまわしてしまった。画面がでかくて見えすぎるせいか。

「ハナレイ・ベイ」 公式ホームページ

「ハナレイ・ベイ」 - 映画.com

家畜人六号 作品集

11月6日(火)のつぶやき

2018年11月07日 | Weblog

「バーバラと心の巨人」

2018年11月06日 | 映画
「怪物はささやく」によく似ているなあ、と思って見ていた。

ともに家族の問題を抱えた孤独な子供が自分にしか見えない巨大な怪物の幻覚と戦い続け、怪物の表現がCGを見せ物的にはなばなしく扱うか、霧の向こうにぬうっと現れるかといった間接的な表現に寄せるかといった違いはあっても最後に怪物が何の象徴なのかわかる、といった構造はそっくり。

怪物はある種の原型(アーキタイプ)なので、どの原型なのかと、あるいは男の子と女の子というあたりで違いは出ても基本的な構造は似てくるのだろう。

原題も原作の邦題I kill Giantsだが、そのGiantsの意味がわかってくるあたりの趣向がおもしろい。

「バーバラと心の巨人」 公式ホームページ

「バーバラと心の巨人」 - 映画.com

家畜人六号 作品集

11月5日(月)のつぶやき

2018年11月06日 | Weblog

11月4日(日)のつぶやき その2

2018年11月05日 | Weblog

11月4日(日)のつぶやき その1

2018年11月05日 | Weblog

「Parker パーカー」

2018年11月04日 | 映画
「悪党パーカー」シリーズの「地獄の分け前」のパーカーをジェイソン・ステイサムが演じるわけだが、同じシリーズの映画化「ポイント・ブランク」「ペイバック」同様に犯罪者仲間に裏切られていったん死にかけ、そこから逆襲を始める話。
悪をもって悪を制するわけね。

冒頭の強盗シーンでステイサムがふさふさの銀髪が出てくるのがなんだかおかしいが、果たせるかなカツラ。
何度もやられかけるのだが、ステイサムだと良くも悪くも安心に見ていられる。

監督は「愛と青春の旅立ち」の、と言われてしまうだろうけれど、しかしホラーから音楽ものから幅広いジャンルを手掛けているテイラー・ハックフォード(ヘレン・ミレンの旦那ね)。

きびきびした演出で飽きさせずに見せるけれど、ジェニファー・ロペスが出てくるところがどうも弛む。昔のハードボイルドみたいな悪女でも、今風の自分で戦う女にもなりきっていなくて、座りが良くない。

「PARKER パーカー」 公式ホームページ

「PARKER パーカー」 - 映画.com

PARKER/パーカー (字幕版)
主演 ジェイソン・ステイサム監督 テイラー・ハックフォード



11月3日(土)のつぶやき その2

2018年11月04日 | Weblog

11月3日(土)のつぶやき その1

2018年11月04日 | Weblog

「デス・ウィッシュ」

2018年11月03日 | 映画
「狼よさらば」のリメイクなわけだが、あれのラストでチャールズ・ブロンソンがニューヨークからシカゴに移るのに合わせたように今回の舞台はシカゴ。
ニューヨークの治安が70年代に比べるとかなり良くなったのに対応したのかもしれない。

ただし時代を現代に置き換えたのをはじめずいぶん変更を加えており、主人公のポール・カージーの職業を建築家から外科医にしたのは効果的だった。人の命を救う人間が同時に悪人とはいえ人を殺してまわるわけだから。
マルチスクリーンで片方の画面には手術の様子、片方には銃の手入れを同時に平行して見せていく演出などこのモチーフを文字通り画に描いたようだった。
外科医の知識を応用して拷問する場面が怖い。医者が知識を悪用するとえらいことになると思った。

また、旧作では妻娘を暴行したチンピラたちを探して復讐するよりは似たような街のダニ全般に対して悪いことをする前に退治してしまえといったアメリカ伝来のずいぶん乱暴な自警主義、ヴィジランティズムが前面に出ていて、それはイタリア出身のプロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが好んでアメリカ社会批判を盛り込みたがった現れだったろうが、今回は一向に捕まらない犯人たちを私的に探し出して復讐する話に絞っていて、「正義」の独善から暴走といった意味合いは薄れた。

また妻が殺されるのは旧作と同じだが、娘が旧作ではレイプされるけれど今回は殴られて植物状態になるが性的にどぎつい描写はなし。現代では女性を興味本位あるいは扇情的な「見せ場」の素材にするのは基本NGというわけだろう。

監督が「ホステル」のイーライ・ロスとあって暴力描写は相当リアルだがクイック・カットで処理しているのと手術場面と一緒に見せられるので、それほどエグい感じはしない。

ブルース・ウィリスが左利きであることを強調した役で(実際にもそうらしい)、初めて拳銃を撃つ時にスライドに左手がはさまってケガをするのだが、そのケガに警察が気づいてどうにかなるのかと思うと特にどうともならなかったり、作りとするとかなり雑なところがある。というか、シカゴ警察の無能とやる気のなさはヒドい。担当刑事が「ブレイキング・バッド」「アンダー・ザ・ドーム」のディーン・ノリスというキャスティング。

「デス・ウィッシュ」 公式ホームページ

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11月2日(金)のつぶやき

2018年11月03日 | Weblog

「フジコ・ヘミングの時間」

2018年11月02日 | 映画
父親はロシア系スウェーデン人建築家でイラストレーターのヨスタ・ゲオルギー・ヘミングで、ラストで彼が世界旅行の宣伝用に描いたポスターが出てくる(船の描き方など未来派の機械の描き方っぽい)が、娘のフジコ・ヘミングもピアニストにして絵心もあるとみえて随所に子供の頃の絵日記が出てくるがこれがいい。
子供らしい大胆なタッチの一方で精練されたセンスも垣間見える。

視覚的造形面に対する美意識は今の住まいにも表れていて、ロココ調にすら見えるパリのアパルトマンの調度(ひらひらした布地が目立つ当人の服装自体がお人形みたい)、アルゼンチンの白い壁、そして京都の取り壊されかけていた古い家を宮大工を入れて改築したというそれ自体が美術品のような住まい、その純和風の佇まいにピアノを置くセンス。

右耳が聞こえず、左耳も一時聞こえなくなって回復したのも半分くらいという状態でよく演奏家としてやっていけると思うが、演奏自体はきわめて堅牢なもの、流れるのはほぼすべて聞きなれたポピュラークラシックの演目もてらいなく、しかも狎れに堕さない。

常に猫をはじめとした動物たちがまわりにいて、留守中にそれらの世話をするのがゲイの音楽家カップルというのがまたなんだか面白い。

実をいうと音楽の演奏そのものにナレーションがかぶったりするのが多い演出はやや不満。「ラ・カンパネラ」の圧巻の演奏シーンのように演奏そのものがいわく言い難い何者かを雄弁に語っているのだから。

「フジコ・ヘミングの時間」 公式ホームページ

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