映画「愛の流刑地」を観て来ました。
「失楽園」で社会現象を巻き起こした渡辺淳一が
失楽園同様に日本経済新聞で連載し
大きな反響を呼んだ「愛の流刑地」
「本当に愛しているなら、私を殺して」という女の言葉を聞き入れ
菊治が冬香の首に手をかける。
その過激さゆえに
賛否両論を呼んだ恋愛小説は、冬香の死から始まり
取調べを通じて、二人の愛の日々が回想されてゆく。
たくさんのベットシーンとラブシーン。
またさまざまな抱擁や、さまざまな体位や、さまざまなキス。
元ベストセラー作家・村尾菊治を豊川悦司
人妻・入江冬香を寺島しのぶが好演しました。
映画の中では、息が詰まるほどの官能的な愛を演じていた豊川と寺島は
菊治と冬香に成りきることで、難しい愛の表現ができたのかもしれません。
2006年春、幻冬舎から出版された
原作・「愛の流刑地」上下巻を読んだ時よりも
二人の演技の上手さに「愛ルケ」の愛の形を受け入れられました。
小説では官能的な部分を想像力豊かに想い描いていたけれど
豊川と寺島の二人は
私の想像力よりはるかに素晴らしい濡れ場のシーンを演じてくれました。
まさに体当たりの演技だとも言えるでしょう。
主題歌は平井堅が歌う「哀歌(エレジー)」
「その手で その手で 私を汚して・・・・」と
平井堅が女の目線からむせび泣くように歌っているのもいい。
切なさをより一層際立たせる。 この映画はR-15指定。
この甲高い、耐え切れぬような悲鳴は
耳に接吻された時の声である。
冬香は全身の中でも特に耳が敏感で
セックスしながら耳に唇を近づけただけで
狂ったように叫ぶのが常だった。
喘ぐ声はさらに激しくなり
再び「だめ・・・」とつぶやき、「いい・・・」と叫ぶ。
いままさしく、冬香の全身は煽(あお)られ、燃え盛りながら
「だめ」という理性と、「いい」という感覚の間をさ迷い
最後はたまりかねたように「凄い」と叫ぶ。
「ねぇ、首を絞めて・・・」
この切羽詰った哀願は、花火の夜の時ではなかったか。
その夜、三度目に結ばれた時、菊治は間違いなく冬香とつながりながら
真上から両手で細い首を絞めつけた。
幻冬舎「愛の流刑地」下巻より。