腫れ、27度、86%
香港島のやや東、大きな市場を挟んだ街が北角です。日本人も多く集まる銅鑼湾から車で10分ほどのところですが、街の雰囲気ががらりと変わります。高層のホテルなども出来てきたにも関わらず、香港の地元という顔をしています。アグネスチャンが育った街です。ビクトリア湾に面していて、小さなフェリーも出ています。観光で、この街をわざわざ訪れる人はいないと思いますが、この街には見物がひとつ。あの二階建てチンチン電車、トラムが市場の真ん中を単線ですが走ります。
香港の市場は、街、街でそれぞれ違います。この北角の市場、さて、なんと表現したらいいのか、開けっぴろげとでも言いましょうか、ドンと荷台を店の前に出して、野菜も果物も山積みで売っています。
このトマトの山。こちらは豚肉を売る昔ながらの店です。
私が毎日通うセントラルの市場は、土地が高いこともありますが、もっとこじんまりとしています。野菜果物はどこの市場も売ってるものは同じです。ところが魚は市場によって特徴があります。
太刀魚が売られているのは、ここだけです。実は私はタコを探しにやって来ました。生きたタコです。時折、北角の市場で魚屋の荷台の下に、たまたま捕れたタコが売られています。残念なことにタコは見つかりません。売られている魚の種類が違うのは、そこに住む人が中国のどこの出身かで決まります。北角の辺りには昔から上海出身の人が多く住んでいるそうです。
先日、このトラムの市場に乗り入れを廃止するかもしれないと新聞に書かれていました。確かに危険です。でも、この市場を通るトラムは、この街の普段です。今では両脇の小さな店が整理されました。もっとゴチャゴチャしていた頃が懐かしく思います。家にクーラーがないお年寄りたちが、海風を受けるために小さなベンチに集まっています。なにを話すでもなく、木陰に座っているだけです。これが、香港の素顔です。
予定のタコはなく、こんなものを買って来ました。我家の近くで姿を消した、アメリカの布袋入りの小麦粉。ひよこ豆。左奥は、1ポンドもある切り干し大根、おそらく中国のものだと思います。切り干し大根、香港では日系のスーパー以外ではなかなか手に入りません。しかも、1ポンドの大入りです。いつもの黒酢が、近くより$4安かったので買いました。
香港に住んでいることを、時折忘れてしまいそうになります。そんな時、この街を訪れると自分の足元を見ることが出来るような気がします。