雨、25度、92%
昨日の朝、風呂場に行くと大きな蜘蛛が床にいました。足を伸ばすと10センチはある大蜘蛛です。私は蜘蛛が嫌いです。大蜘蛛は怖いと思います。蜘蛛は急に明るくなったのと私の気配に驚いて壁に駆け上がりました。床には何やら黒い塊を残しています。「糞かしら?」「サナギかしら?」
この家は私が子供の頃には今よりたくさんの生き物がいました。家の改築を経て、40数年ぶりに戻るといなくなっていた生き物が、蛇(青大将)、カエル、サワガニ、大蜘蛛です。巣を張らない小さな「家蜘蛛」は夏になると出て来ます。蛇と大蜘蛛がいなくなって緊張がなくなりました。庭で遭遇する「蛇」、巣を貼り獲物を待ち構える「大蜘蛛」は怖いと思います。
朝、風呂場で出会った「大蜘蛛」、しばらくして風呂場を覗くと床におき忘れた黒い塊をしっかりと抱きかかえていました。 殺虫剤をかければいいようなものですが、なんとなく憚られてそのままにしておきました。昼過ぎ、風呂場を覗きました。床には黒い塊、「大蜘蛛」の姿は見えません。「やれやれ、何処かに行ってくれたわ。」ホッとして、黒い塊をつまんで捨てようと思いました。ペーパーを黒い塊の上に持って行くと、黒い塊が風を受けたようにすっと前に動きました。またペーパーでつまもうとすると、動きます。蜘蛛の糞だと思っていたものが動くので、小さな塊に恐怖を覚えます。「何だろう?」目を近付けました。目のようなものが光って私を見つめています。 小さなゴキブリのようですが手足はありません。朝見たときからこの格好です。私が発見する前に「大蜘蛛」に手足を食べられていたのでしょう。まだ生きています。気味が悪いのでそのままにして風呂場を出ました。
昨日も大雨、ほとんど一日家にいました。家にいて他の用事をしていても、頭の片隅に風呂場の「大蜘蛛」と「黒い塊」のことが引っかかっています。3時過ぎ、風呂場に行くと「大蜘蛛」が床で小さくなっています。どこかに隠れていたようです。「擬死だわ。」死に真似です。昆虫によく見られる「擬死」だと思いました。その蜘蛛の向こうにはまだ「黒い塊」がありました。
夕方の散歩から戻り、お風呂を使いたいと思います。風呂場には擬死の「大蜘蛛」「黒い塊」が放置されています。気が重い。まず擬死らしい「大蜘蛛」を紙で突きました。動きません。もう一度突きました。動きません。死んだようです。やっとつまんでビニールに。次は「黒い塊」です。数時間前と同じように紙をのせました。もう前には動きません。急いで蜘蛛と同じビニールに入れ、袋の口はしっかりと締めました。
朝から半日、「大蜘蛛」とゴキブリらしい「黒い塊」に心の半分が占められていました。この歳になっても「大蜘蛛」は嫌いです。お風呂場の床を拭きながら、ここで命を落とした虫のことを思いました。「殺虫剤を使わなくてよかった。」奇妙な一日でした。
雨、29度、87%
連日雨が降ります。一日中降り続く雨ではありません。雷が遠くで聞こえ始めると、空が曇ります。そしてポツリポツリと雨が落ちて来ます。夏の雨です。
家の中で慌ただしくしている時は雨を気にしません。昨日の午前、雨脚が強くなったので外出を待ちました。ぽっと出来た空き時間です。本も読まず、音楽もかけず、ただ雨を見ていました。雷の音は大きく近付いて来ています。窓を開けて雨の匂いを嗅ぎます。小さい頃と変わらない雨の匂いです。
香港の雨は日本の雨より激しく、注意報がよく出ました。単純で分かり易い「赤雲」「黒雲」マークです。大雨でずぶ濡れになったことは幾度も、そんなことを頭のどこかで思い出していました。でも、雨の匂いが日本の雨の匂いとは違いました。亜熱帯の匂いです。
縁側に座って、木肌や石肌が濡れていくのをじっと見ていました。 硬質な石肌が色の変化を見せるのは雨を受けた時です。雷が落ちた音がします。絶え間なく雨が屋根を打つ音もします。心地よい響きです。木々や緑が喜んでいます。
一時間近くもじっとしていました。雨の峠が過ぎました。「出かけなくては。」
雨が好きです。
曇、26度、90%
ひと月ほど前、「汁なし担々麺」の話を書きました。「黒酢」と「ラー油」と「お醤油」だけでタレを作ります。それなのに味にコクがあり美味しくできます。「ラー油」は市販のものでもいいけど家で作っています。「どうやって作るのですか?」と問い合わせがいくつかありました。作ったばかりだったのでお返事が今になりました。
簡単です。乾燥唐辛子5グラム。粉状になったものであればもっと簡単。 粉砕します。種は非常に辛くなるので好みで種は取り除いてください。
オイルは匂いのないオイルを50グラム、私は「グレープシードオイル」を使いました。香りづけに、生姜の切れっ端、ネギの切れっ端。 左から「八角」「陳皮」「花椒」を適当に。「シナモン」、「月桂樹」を入れるとまろやかな香りになります。
少量の水で湿らせた「粉唐辛子」に香りづけのものを合わせてオイルを入れ、弱火にかけてしばらく煮ます。辛さの匂い、香辛料の匂いが立ち始めたら、オイルは赤く染まっています。数日置いた方が味、香りともに落ち着きます。
使った唐辛子や香辛料を漉して瓶に入れてもいいし、沈殿したまま上澄みのオイルを使っても構いません。家で作るものですから冷蔵庫での保存がいいと思います。
一つ大きな注意点、作っている間、手指を目元に持っていかないように!出来上がった温かな「ラー油」に鼻を近づけないように!目はピリピリ、鼻はくしゃみが出そうになります。目の痛みはしばらく続きますから要注意です。
晴、23度、93%
「カルネ」という調理パンをご存知でしょうか?京都のパン屋さんが作っている、ロースハムに軽く火を通した玉ねぎを挟んだ調理パンです。 このパンは私の友人の大好物でした。8年前、友人は若くして逝きました。友人の命日にご家族が「カルネ」を送ってくださいました。
友人とは香港で知り合いました。彼女は帰国する度にたくさんのお土産を持って来てくれました。和菓子、洋菓子、お野菜、お漬物、そして必ず「カルネ」。ちょっと早口な声で電話がかかります。「真奈さん、今日時間あります?」香港に着いてすぐの電話です。なぜなら「カルネ」はその日のうちに食べないといけません。我が家に届けてくれることもありますが、大きな袋を抱えて電車の改札口で受け取ることもしばしばでした。お土産を手渡され、「真奈さん、温め直してくださいよ。」と念を押されます。「カルネ」のことです。
「カルネ」を見ると急いで食べなくてはと思います。早速、 一つ目は焦がしてしまいました。 半分に割るとふかふかのバンズの間から玉ねぎとハムの香りがします。普通のように見えますが、この「カルネ」の美味しさは見えないところに潜んでいます。パンに塗ってあるのは「マーガリン」と「ラード」です。これが美味しい決め手です。「このマーガリンがいいんですよ。」という友人の声が耳に聞こえます。
気丈な彼女でした。せっかちに話すのにどこか悠長、きちっとしているのにぽっかりとおかしなことをする人でした。スペインが好きで、ピカソが好きで。久しぶりの「カルネ」を食べながら彼女のことを思い出します。
はるさんありがとう。
曇、27度、91%
この春4年ぶりにジャガイモを植えつけました。売っている種芋を買いました。4年前は北海道の友人が送ってくれた普通のジャガイモを使いました。手もかけなかったのにたくさん採れました。今年も順調に芽が出たのですが、苗が20センチほどになった頃、葉も茎も急に黄色くなり枯れました。原因不明です。がっかりしたので、枯れた茎と葉だけ取り除きプランターの土はそのままにしていました。先日、2日続けて強い雨が降りました。プランターの土の中にジャガイモらしきものが見えます。 「種芋かな?」と思いました。掘ると小さなジャガイモたちです!
4つ植えた種芋の姿はありません。花も咲かせなかったのに、子供を残してくれました。
ジャガイモは主人の要望で植えました。4年前、たくさん採れたことや美味しかったことが忘れられなかったのでしょう。 小指の先ほどのジャガイモは私とココで食べます。大きめのジャガイモは主人の帰宅を待って、食卓に載せるつもりです。
庭仕事は失敗がたくさんです。土と太陽と雨が恵みをもたらしてくれますが、虫や鳥や思わぬ病気で育たないこともあります。枯れた茎を取り除いた時、地中にジャガイモの子供がいたのです。ありがたく嬉しい庭からの贈り物を味わいます。
曇、24度、94%
昨日、珍しいものをいただきました。「クロロウバイ」の根付きの枝です。しかも、この「クロロウバイ」は京都の南禅寺の僧堂のお庭にあったものだということです。 私は「クロロウバイ」を知りませんでした。春早く薫る「ロウバイ」薄黄色の蝋を被ったような花しか知りません。知ってるのは微かな香りだけです。嬉しいやら、恐れ多いやら、急いで鉢に植えました。
調べると、さほど大きな木にはならず、挿し木でも増やせるとわかりました。ひとまず、鉢で様子を見ます。根が着いてくれたら、冬に庭に移します。黒紫の香りある花が咲くそうです。
有名なお寺のお庭からやって来た「クロロウバイ」です。私が、興奮と緊張で植えつけている横でココは呆れていました。庭に香りのある木がまた増えました。香りのある花が好きだった父が喜んでいると思います。暑さ寒さに強い「クロロウバイ」だそうです。大事に育てないと!ありがとう。
雨、25度、94%、雷
庭にはたくさんの草木があります。それらが自分で種を飛ばして、発芽しているのを庭の地面に見つけます。「ネズミモチ」は黒い小さな実をつけ、木の下には芽生えがたくさんです。赤い実の「南天」、神木の「榊」も木の下を見ると芽生えを発見します。成長が早く放っておくとニョキニョキ。今年は「ラベンダー」の一種類があたり一面に芽生えました。 こうして庭にある植物が「親」だとすぐにわかるものもあれば、どこからやって来たのかわからない芽もあります。鳥たちが食べた実から糞で蒔いてくれたものでしょう。
数日前、「山椒」の小さな芽を庭に発見。我が家には「葉山椒」が一本あります。花も実も付きません。しかも見つけた「山椒」の芽とは家をまたいで反対側に植わっています。踏みつけてしまいそうなので、鉢に移しました。
植物は動くことができないけれど、風に乗せたり虫や鳥に手伝ってもらい自分たちの命を広域に送ります。自然界の素敵を見せてくれます。
さて、「山椒」どうやって庭に芽生えたのでしょう?「山椒」の実を食べる鳥っているかな?日に日に少しづつ大きくなる「山椒」の芽を見ながら、「どこから飛んで来たの?」と尋ねます。
曇、25度、92%
「夏のココア」を作る。 「冬のココア」と同じで使うのはココアとミルクだけ。 ココアは大さじ1杯。これを少量のミルクとよく練る。少しずつミルクを増やして、 途中でフォークに変えて練り続ける。泡立てや茶筅は使わない。ミルクの量は色を見て決める。少し濃いめな「ココア色」そこに氷を入れて、よくかき混ぜる。氷が溶けたら薄まって美味しくない。急いで飲む場所を決める。雨に濡れた庭石を見ながら飲むことに。ガシャガシャとかき混ぜ、 フォークやスプーンについているココアを舐める。「ミルクチョコレート」より美味しい。 底に残った氷は溶けても飲まない。これほど美味しくないものはない。「夏のココア」
大雨、25度、92%
今年は梅雨入りが早かったのですが、雨マークが出ていても我が家の周辺は雨が降りませんでした。遠くに住む主人や息子は雨の状態を心配してくれていました。やっと昨日まともな雨が降り出しました。「来ましたね、庭の水遣りが楽になるわ。」夜中から雷を伴う大雨です。洪水、河川氾濫、大雨警報発令のアラームがスマホから幾度も聞こえました。今日昼前まで雨は降り続くようです。大雨の日の朝一番の私の仕事は家中の「雨漏り」点検です。「雨漏り」なんて経験したことない方が多いかと思います。なにぶんにも古い家です。風の向きで雨漏りが急に起こることもあります。今朝は異常なし。
長期天気予報を見ると今後2週間、毎日傘マークがついています。長い長い梅雨にありそうです。しかも気温は高く晴れていないのに「熱中症注意」が連日叫ばれています。不快な日が続きます。庭の緑は色を深め夏の緑に変わって来ました。新緑もいいですがこの緑も好きです。家の中にも夏の強い緑を添えました。「文月のテーブルクロス」は夏の緑。雨が降ってもが負けない強い緑色です。
虫類も多くなります。物を置かず風通し良く過ごすのがこの季節の決まりごと、床の間には「小村雪岱」の木版画「砂浜」をかけました。 砂浜で貝を拾う女性像です。「小村雪岱」の描く女性は重さがありません。重さがないのに細い曲線が柔らかさを伝えてくれます。
今月の「もものカレンダー」は11歳の時のモモです。いつものようにテーブルの上に自分で上がって畳んであった新聞に頭を乗せて寝ています。 飽きることなくモモの寝顔を見ていました。写真からも微かな寝息が聞こえて来そうです。
テレビのニュースが幾度も洪水のあった「筑後地方」に警戒を発令しています。朝倉、久留米、筑後川沿いが心配です。新幹線は通常運行です。この夏、雨による災害がないことを祈ります。