お正月前に図書館で借りた新書を2冊を読みました。
どちらも日本の未来を考える上で大切なことを教えてくれる本でした。
『 ヒトラーの側近たち 』は
ヒトラーを囲む(崇める)若い閣僚たちが、
急速に出世して権力を手にして、
どのようにヒトラーの狂気を、実行に移して行ったのかが書かれています。
世界経済恐慌のただなかで失業し、生活苦にあえぐ人々は、
軍需産業と関連する重工業等で経済が活性化することを歓迎しました。
そしてユダヤ人を「悪」と決めつけるヒトラーらの
ヘイトスピーチが過激になればなるほど支持者が増えていきました。
ナショナリズムの高揚は、
さらにヒットラーの側近の一人一人の行動を増幅させていくのです。
法治国家が、テロ国家へと転落するまでに、
幾度もそれを押しとどめようとする契機があるのですが、
反対勢力は次々と抹殺されていきます。
そして最後のダムが決壊するともう止めることはできません。
今の日本の状況と重なって見えて来ます。
『 ヒトラーの側近たち 』大沢武雄 著
2011年、ちくま新書
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『 原発と大津波、警告を葬った人々 』は
阪神淡路大震災も東北地方太平洋沖地震も津波も
全く想定外などではなかったということを明らかにしています。
大阪大と京都大の研究者たちからきちっとした文書で報告があり、
警告を受けていたにも拘らず、
神戸市はその内容を無視し、防災対策に盛りこみませんでした。
また東北太平洋沖で大津波が起きる地震が予測されていて、
何度もそのために対策を見直す機会があったにも関わらず、
無視されていたのです。
2001年に東北大の広報誌に簑浦幸治氏は書いています。
「津波堆積物の周期性と堆積物年代測定から、
津波による海水の遡上が800年から1100年に一度発生していると推定されました。
貞観津波の襲来からすでに1100年余の時が経ており、
津波による堆積作用の周期性を考慮するならば、
仙台湾沖で巨大な津波が発生する可能性が懸念されます。」
しかし警告は誤魔化され、住民には隠され、
安全委員等には圧力をかけ、3,11のその日まで放置したのです。
そして今、
火山学者たちの警告を無視して、
川内原発が再稼働し、
さらに、地震学者たちの調査研究も誤魔化して福井の原発も再稼働へと向かっています。
もちろん地震が起きようと起きまいと、
津波が起きようと起きまいと、
原発は絶対悪だと、私は思っています。
ウランを掘り出す最初から、
廃棄物の処理に至る全ての段階で、
人の命を脅かし、自然を破壊し、
連鎖的に差別を生み出し、原発で働く人の暮らし、
原発の周辺に住む人々の暮らしをずたずたにするのが原発の正体です。
東電の犯罪、日本政府による大掛かりな詐欺は、
個人の一人一人の言動や行動とともにしっかりと検証し
責任を追及しなければ、何度でも同じことが繰り返されるでしょう。
『原発と大津波 警告を葬った人々』添田孝史 著
2014年 岩波新書