5月19日(土) その1
10人乗りのタクシーは大きくてゆったり、
運転手さんは長岡さんという地元出身の優しい方だった。
今日は世界遺産「日光の社寺」巡り。
日光山内にある建造物群103棟(国宝9棟、
重要文化財94棟)とそれらの建造物群及び周辺の
自然環境が一体となって形成する文化的景観全てが
世界遺産に指定されているという。
東照宮の一番近くまで車で送っていただき、先ず記念の一枚。
少し歩くと、拝観券?売り場に長い行列が・・・。
海外からの観光客も多く、韓国、中国は言うに及ばず、
ヨーロッパや、アメリカの方達も大勢、
それに、小学生の修学旅行のグループも多く、
近くにいた子供達に聞くと「千葉県から来ました。」と答えてくれた。
ようやく中に入ると、たくさんの素晴らしい建物が並んでいたが、
凡人の私は「三猿」の元へ。
重要文化財 神厩舎【しんきゅうしゃ】
建物の前には大勢の人達が群がっていたので、
建物全体の写真は撮りにくかったが、
ここは厩、すなわち、馬の世話をする所で、
初代神馬は徳川家康が関ヶ原の戦いの時に乗った馬
「立黒」(たちぐろ)で、
その後は代々将軍家より奉納されたという。
この建物の長押(なげし)上に施された浮彫画面が8枚あり、
この8枚で猿の一生が描かれており、ひいては
人の平和な一生の過ごし方を説いた物と言われている。
その一枚が有名な「見ざる、言わざる、聞かざる」で
幼少期には悪事を🙈、🙉、🙊という教えで、
転じて、自分に不都合な事は
見ない、聞かない、言わない方がいい、という教えらしい。
その教えは知っていたが、厩の長押の上に他に7枚の猿達がいたなんて、
全く知らなかった。
他の建物が煌びやかな中で、妻の飾りと長押上の彫刻などの他は
彩色が施されていない境内唯一の素木造の建物だが、
それもそのはず、馬小屋なのだから。
世話をする役人が寝泊まりする畳の部屋が
隅にあるだけの質素な建物なのに、
三猿の教えだけは日本のほとんどの人が知っている・・・
あちこち見て、さてこれから陽明門へ。
母を気遣って、娘が横でサポート。
今日の為に購入したストックがあるから大丈夫!と、
数日前に高熱を出していたとも思えない足取りで、
先ずは背後に聳える陽明門へ。
陽明門は建物全体がおびただしい数の極彩色の彫刻で覆われ、
一日中見ていても飽きないということから
「日暮御門」と言われているそうだ。
門を入ると正面が唐門で、その先に本殿がある。【どちらも国宝指定】
唐門は江戸時代の参拝基準となっていた門で、
ここより先に昇殿出来る者は、
将軍に拝謁できる身分以上の幕臣や大名に限られていたそうだ。
世が世なら、私達は唐門の近くにさえ寄れない・・・
そろそろ疲れて来た。
残すは 伝説的な彫刻職人 左甚五郎作の「眠り猫」の木彫像と
薬師堂(本地堂とも呼ぶ)「鳴き竜」 へ。
「眠り猫」は下の大きな看板がなければ
見過ごしてしまうほど小さくて、
しかも、この裏面には雀たちの木彫もあり、
この猫は寝ていると見せかけて、家康を守る為に、
いつでも飛び掛かれる姿勢をしているとか、
もう一説には、裏で雀が遊んでいても、
「猫も眠るほどの平和」を表しているという。
「鳴き竜」に関しては、
1961年に薬師堂(本地堂)が火災で焼失して、
その後復元したが、その時の音の復元に娘の恩師の恩師、
石井 聖光先生が尽力をされた、と娘から聞いた。
その研究論文があるからと、旅行後、娘がメールで送ってくれた。
しかし・・・私にはチンプンカンプン!
何はともあれ、「鳴き竜」の声を聞き満足!
この後、私達は車に戻り日光山輪王寺に向かう。
たくさんのすばらしい建物や彫刻、
何十枚も写真に収めたが、文面が長くなるので割愛。