夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

喪の色

2002年12月13日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
「お葬式のときはなんでみんな黒を着るの?」と
友だちが子どもに聞かれたそうです。
「よう答えんかってんけど、知ってる?」とメールが来ました。
私は10数年前から某博物館に勤めていますが、
「喪服の色」というのは人類学関係者の宴会の席では
たまに話題にのぼるネタであったりします。

そもそも日本では「喪服は白」だったそうですね。
明治時代、英照皇太后の葬儀のさいに、西欧諸国にナメられないように、
西洋風の黒を着用するように明治政府からお達しがあったのが
そもそもの黒の発端だとか。しかし、西洋ではなぜ黒なのか、
そこまでは私にとってはまだ謎のままです。
仏教では、黒は一度染まったらほかの色には染まらないという解釈から、
改宗しないという意味が含まれているとも聞きました。

しばし忘れていたネタでしたが、
最近になって友だちからそんなメールが届いて、
映画を観るときにも葬礼の場面にはふたたび注目するようになりました。

前述の韓国作品『友へ チング』にもお葬式の場面がありました。
男性はみんな黒服に黒ネクタイでしたが、
喪主は神主さんのような帽子をかぶり、上から下まで白づくめ。
焼き場で泣き崩れる女性は白一色のチマ・チョゴリでした。
おぉ、やっぱり白なんだと思った一場面でした。

たかが色とは思えません。
国によって、地域によって、民族によって、
それぞれ深~い意味があるんでしょうね。

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『友へ チング』

2002年12月13日 | 映画(た行)
『友へ チング』(英題:Friend)
監督:クァク・キョンテク
出演:ユ・オソン,チャン・ドンゴン,ソ・テファ,チョン・ウンテク他

去年の韓国映画。
公開されたときは韓国版『スタンド・バイ・ミー』と
評されていたようです。

仲良し4人組の少年たちはどこへ行くにも何をするのも一緒。
高校を卒業してそれぞれの道を歩みはじめる。
4人のうちのひとりは、ヤクザの組長の息子、ジュンソク。
家業の葬儀屋を継ぐことに抵抗していたドンスは
ジュンソクと敵対する組の片腕となる。
「チング」とは「親旧」と書いて長い永い友だちのこと。

組の若い者に「相手が『いま殺されている』と感じるように殺せ」
と刃物の使い方を教え込むジュンソク。
そんな教訓を守る若い者にこれでもかと言われるほど刺されて、
「もういい。じゅうぶん食らった」と微笑んでつぶやくドンス。

若い者がジュンソクのことを思って殺ったことだったけれど、
裁判の席でジュンソクは「自分が指示したことだ」と証言する。
4人組のうちの優等生に「なぜあんな証言をした」と問われたジュンソクは
「かっこ悪いから」と答えます。
「俺もドンスもヤクザだから。ヤクザはかっこよくなくちゃいけない」と。

なんでか男の友情物語のほうがジーンときます。

ヤクザネタだと一昨年の香港映画『ザ・ミッション 非情の掟』(1999)、
これはオチも含めて超オススメ。

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