夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ミスティック・リバー』

2004年07月28日 | 映画(ま行)
『ミスティック・リバー』(原題:Mystic River)
監督:クリント・イーストウッド
出演:ショーン・ペン,ティム・ロビンス,ケヴィン・ベーコン,
   ローレンス・フィッシュバーン,マーシャ・ゲイ・ハーデン他

ボストンのブルーカラー地区、イーストバッキンガム。
ジミー、ショーン、デイブは11歳。
遊び仲間の3人がいつものように路上で遊んでいると、不審な車が近づいてくる。
警官を装った男ふたりは、3人のいたずらをとがめ、母親に言いつけてやるという。
そして、いちばんおとなしそうなデイブを連れ去る。

デイブは丸4日間、戻ってこなかった。
男たちに監禁され、性的暴行を受けていたのだ。
誰も助けに来てくれない。命からがら逃げだしたデイブ。
それ以降、3人で遊ぶことはなかった。

25年後、いまも同じ町で暮らす3人。

リーダー格だったジミーは小さな店を営む。
死別した前妻との間の娘ケイティは19歳。
2番目の妻アナベスと、さらに娘がふたり。
幸せな家庭を築いている。

刑事になったショーンは、妻と別居中。
生まれたはずの娘の名前すら教えてもらっていない。
何か言いたげに頻繁に無言電話をかけてくる妻に一方的に話しかけている。

デイブはアナベスの従姉セレステと結婚。
彼の過去を誰もが知る町で、陰鬱さを漂わせながら質素な生活を送っている。
息子とキャッチボールをする毎日。

ある日、ジミーの最愛の娘であるケイティが他殺体で発見される。
捜査に当たることになったのはショーン。
そして、容疑者として浮かんだのはデイブだった。

映画館で観ておきたかったと心底思う作品が
年に数本あるけれど、これもその1本。
130分を超える長編ですが、長さをまったく感じさせず。

新しい人生を送っているはずの3人が
こんな悲惨な事件で呼び寄せられ、ひた隠しにしてきた傷が痛みだす。
彼らの口から何度もくりかえされる、
「あのとき自分が車に乗っていたら」という言葉が重い。

途中で犯人の見当がついてしまうけど、それでもぐいぐい話に引き込まれます。
これは犯人を探すミステリーではないでしょう。
後味が悪いって?
いいんです、それも。

人の気持ちは、他人がすべてを理解することは決してできないもの。
人間の愚かさを突きつけられる逸品。
クリント・イーストウッドってすごい。

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