夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ステイ』

2006年09月13日 | 映画(さ行)
『ステイ』(原題:Stay)
監督:マーク・フォースター
出演:ユアン・マクレガー,ナオミ・ワッツ,ライアン・ゴズリング他

公開時のキャッチコピーは、
「そのリアルを疑え。現実が消えていく世界で、
僕らはどんな愛を知るのか?
この映画の謎は、頭で考えても決して解けない」。
イリュージョン・スリラーと銘打たれた、
暗くて重くて怖そうなジャケットと裏腹に
胸に突き刺さる切なさは何?

ニューヨークのオフィスビルの一室。
精神科医のサムは、体調不良の同僚ベスから
美術大生のヘンリーという患者の診察を引き継ぐ。
事前に医師の交替を知らされていなかったヘンリーは
サムに不信感を持っている様子。
初日は「雹が降りそうだから」とただちに退室する。

その日、本当に雹が降る。
天気予報士にもまさるヘンリーの予想にサムは驚き、
ヘンリーに興味を持つようになる。
後日、サムのもとを再び訪れたヘンリーは
21歳の誕生日に当たる次の土曜日に死ぬつもりだと話す。
土曜日まであと3日。

サムの恋人は美術大教授のライラ。
彼女が自殺未遂を起こしたさいに救ったのがきっかけで
ふたりは暮らし始めるようになった。
ヘンリーのことが頭から離れないサムは、
守秘義務を侵してライラに相談する。

やがてサムの身の回りに異変が起こる。
既視感に襲われ、次第に夢と現実の区別がつかなくなり……。

観ている側もどれが現実なのかわからなくなります。
ネタがバレバレになるのであらすじはこれ以上書けませんが、
これは私にとってはスリラーなんかじゃありません。
切ない切ないラブストーリー。

サム役は『スター・ウォーズ エピソード1』(1999)のオビ・ワン、ユアン・マクレガー。
『きみに読む物語』(2004)のライアン・ゴズリングが
絶望の淵にいるヘンリーを好演。
ライラ役は『キング・コング』(2005)のヒロイン、ナオミ・ワッツ。
どうすればヘンリーの自殺を止められるのかと
サムから相談された彼女の答えは、
「ヘンリーに伝えて。人生は美にあふれている」。

オチは「いまどきそれかよ?」と思わなくもないですが、
あのオチだからこそ余計に胸に迫る切なさ。
伝えたいのに伝えられなかったあの気持ち。
『きみに読む物語』で一生に一度の恋を貫いたゴズリングと本作の彼とを見比べると、
成就してもしなくても、恋ってやっぱり切ないもの。
だけどやっぱり恋していたい。

死ぬ直前、誰のことを想い、何を思いますか。

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