夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『UNDERWATER LOVE おんなの河童』

2012年01月25日 | 映画(あ行)
『UNDERWATER LOVE おんなの河童』
監督:いまおかしんじ
出演:正木佐和,梅澤嘉朗,成田愛,吉岡睦雄,守屋文雄他

前述の『トーキョードリフター』と第七藝術劇場でハシゴ。
松江哲明監督は『あんにょん由美香』(2009)の監督で、
本作のいまおかしんじ監督はその『あんにょん由美香』の出演者でした。
そして、本作のヒロイン、正木佐和は林由美香にどことなく似ています。

いまおかしんじ監督といえばピンク映画。
本作は日本とドイツの合作で、世界初の「ピンクミュージカル」なのだそうです。
R-18じゃなくてええのかと思うR-15ですが、ポルノでしょと敬遠することなかれ。
撮影は『海洋天堂』(2010)の名カメラマン、クリストファー・ドイルですから。
七藝では女性は1,000円で観賞できます。

蓮沼の広がる田舎町の水産加工工場に勤める明日香。
ある日、まだ生きている魚を見つけて水辺に放してやる。
ところが、水中からいきなり現れた河童が魚をゴクリ。
河童が出たと明日香は騒ぐが、誰も信じてくれない。

車で帰宅途中、路上に再びあの河童が現れる。
驚く明日香に向かって、河童は「俺だ、青木だ」。

「青木」とは、17年前に沼で溺死した、明日香の高校時代の同級生。
直後に河童に生まれ変わった彼は、久々に人間側の世界に来たのだと言う。
頭の皿が乾いた青木に、明日香は風呂を貸してやり、昔話に花が咲くが、
明日香の婚約者である工場主任の滝がいつ訪ねてくるかわからないため、
泊めてほしいと頼む青木を追い出してしまう。

翌日、変装した青木がなんと工場に新入社員として登場。
明日香の同僚、麗子は青木に興味を持った様子。
明日香に話しかけるも滝とのデートを理由につれなくされた青木を、
麗子は廃屋へと誘う。そこは人間だった頃の青木の家で……。

冒頭、工場で歌う社員たちの姿に、『川の底からこんにちは』(2009)を思い出すけれど、
こっちのほうが圧倒的に変。これで掴みは十分、引き込まれます。
全編通して、歌はカタコトの日本語、踊りはヘニャヘニャ。
けれど、演者がやたら堂々としていて、みんなひたすら楽しそう。

ネタバレになりますが、青木はなぜ自分がこちら側に来たのかわかりません。
しかし、途中、レゲエな死神から明日香の寿命があと数日であることを告げられ、
自分は明日香を救うために来たのだと悟ります。

廃屋の押し入れから麗子が見つけたのは、
昔、青木が綴ったまま出せなかった明日香へのラブレター。
青木の明日香への想いを知り、麗子も一役買うことに。
ちゃんと伝えなきゃと青木を後押し。

台詞は棒読みの青木くん、ラブレターの文面は明日香のそれよりずっといい。
「好きです。大好きです。今度、一緒に学校に行きませんか」。

キモくてヘンテコな映画なのに、終わってみればなんだか幸せ。
昼間より明るい夜の十三をウキウキ歩く帰り道。

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