『シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ』(原題:Comme un Chef)
監督:ダニエル・コーエン
出演:ジャン・レノ,ミカエル・ユーン,ラファエル・アゴゲ,
ジュリアン・ボワッスリエ,サロメ・ステヴナン他
前述の『レ・ミゼラブル』の翌日、シネ・リーブル神戸にて。
シネ・リーブルのシネマポイントカードが昨年末にて終了しました。
あと1本観れば1本無料になる程度のポイントが貯まっていたので、
有効な間に2本以上観ることに。
本作は梅田・神戸の両方で上映中で、どちらで観てもよかったのですが、
ハシゴしたいものを考えて、『孤島の王』(2010)以来の神戸に決定。
パリ有数の高級フレンチレストラン“カルゴ・ラガルド”。
15年にわたってミシュランの三ツ星を獲得しつづけている。
老年の域に差しかかったシェフのアレクサンドルは、
レギュラーでTVの料理番組を持つほどの人気者だが、最近スランプ気味。
もうじき覆面調査員が来店するはずだが、新メニューが思い浮かばない。
レストランのオーナーを務めるのは、傲慢このうえないスタニスラス。
父親の早い引退によりこの店を引き継いだが、料理のことはまるでわかっちゃいない。
アレクサンドルの料理をけなしつづけ、もしも星を落とせばクビだと通告。
そんな言い草に脅えたくはないが、内心あせるアレクサンドル。
さて、そのアレクサンドルを崇拝し、
彼が過去につくった全料理のレシピを完全に記憶している青年ジャッキー。
一流の舌と天才的な料理の腕前を持っているが、
どんな店に勤めようとも、客のチョイスに口出しせずにはいられないため、
トラブルを起こしてただちにクビになる困った男。
妊娠中の婚約者ベアトリスから、せめて半年は定職に就いてほしいと懇願され、
彼女の紹介により、老人ホームの窓枠のペンキ塗りに就くことに。
とりあえずは真面目にペンキ塗りを始めたものの、
老人ホームの厨房を覗けば、料理人連中の手際が気になって仕方がない。
アドバイスがてら、アレクサンドルの番組を一緒に見るのが日課になる。
その老人ホームに入居していたのがかつての“カルゴ・ラガルド”のオーナー、
つまりはスタニスラスの父親。
ある日、ジャッキーがつくった料理を口にして目を丸くする。
たまたまそこへやってきたアレクサンドルに一口勧めるとやはり仰天。
それは全盛期のアレクサンドルの料理と瓜二つだったのだ。
スタニスラスの陰謀でちょうど助手を失ったところのアレクサンドルは、
ペンキを塗っていたジャッキーを即スカウト。
試用期間中は無給だという事実はベアトリスには伏せて、
ジャッキーはアレクサンドルの助手を引き受けるのだが……。
覆面調査員が「分子料理」好きだと聞き、分子料理に手を出すところは、
星を維持するためにはここまでしないと駄目なんだなぁと、
笑いたいような笑えないような。
これについては分子料理といえばこのお店、
『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』(2011)と併せてどうぞ。
老人ホームの料理人たちがめちゃ愉快。
元タイル職人にトラック運転手、メイクアップ師で、
まるで頼りにならない助っ人たちが笑わせてくれます。
日本人に化けたジャッキーが着物姿で合わせて踊るのは放送禁止歌の『竹田の子守唄』。
これは外国映画に登場する変な日本人そのまんまでしたけれど、
重たいところは何もなし、サクッと観られるコメディです。
おなが空いたらどうぞ。