夜な夜なシネマ

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『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』

2013年01月31日 | 映画(ら行)
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(原題:Life of Pi)
監督:アン・リー
出演:スラージ・シャルマ,イルファン・カーン,アディル・フセイン,
   タブー,レイフ・スポール,ジェラール・ドパルデュー他

先週木曜日の先行上映にて、IMAX3D字幕版を。
全国に数えるほどしかないIMAXシアターが家の近所にあることに感謝。

これだけ予告編を目にしていたら観たくなるというもので。
アン・リー監督の作品だけに期待が高まります。
IMAX3Dかつ先行上映を選択したら、映画鑑賞代を節約なんてできないけれど、
どうしても観たかったんだもん、仕方ない。

原題は“Life of Pi”。「パイ」の綴りを気にしていなかったので、
“Pi”だと知るまでは『あなたに逢いたい』(1995)が頭に浮かび、
“Pie in the Sky”のような慣用句があるのかと思っていました。
タイトルの由来をまだご存じない方はそのまま劇場へどうぞ。

予告編から想像していたのは、ある一家が大海原で嵐に巻き込まれ、
ひとり海に投げ出された少年がトラと漂流する話。
基本的にはそうでしたが、構成がちとちがいました。
こんなふうに、鑑賞前に想像していたものとはあれこれちがうところが。

あるカナダ人ライターが小説の題材を探していたところ、
ママジなる人物から紹介されたのがカナダ在住のインド人男性、パイ・パテル。
ライターに食事をふるまったあと、信じるか信じないかは自由だと言いつつ、
パイが語りはじめたのは驚愕の冒険譚。

インド東海岸に接する美しい町ボンディシェリで、
動物園を営む両親のもとに生まれ育ったパイ。
3つの宗教にハマり、多数の神を信仰しながら、数学と読書を好む少年。
動物たちのなかでも特に雄々しいトラに魅せられて近づくが、
激怒した父親は、トラがいかに凶暴かを山羊をあてがってパイに示す。
以来、パイはトラに餌をやろうなどという無謀なことは考えずにいる。

パイが16歳になったとき、一家はカナダへの移住を決める。
初恋の女性と別れるのは悲しいが、一人インドに留まるわけにはいかない。
カナダで売り払う予定の動物たちとともに、一家は日本の大型貨物船へ。

ところが、世界最深のマリアナ海溝上を通過中、激しい雷雨に見舞われる。
そんな雨にも喜んで甲板に出たパイだったが、船はすぐに波にのみ込まれ、
船室で就寝中だった両親と兄は閉じ込められてしまう。
やがて船は沈没、救命ボートに乗り移ったパイは辛くも生き延びるのだが……。

嵐に遭えば動物たちも暴れ、シマウマが救命ボートに飛び乗るさまにギョッ。
オランウータンはバナナに乗ってゆらゆら、
ハイエナはゲーゲー吐きながらも他の動物に襲いかかります。
リチャード・パーカーという名前を持ったトラとパイの漂流はもちろん見もの。

とにかく3Dを前提にして撮られた作品であることがわかります。
オープニングでは監督の名前が水面に浮かび、エンディングでは魚が泳ぐ。
薄黄に彩られた空やクラゲが光る海がとても幻想的。
3Dならではの楽しさいっぱいで、飛んでくるものを避けてしまったこと数回。

不満を言わせてもらうなら、成人したパイ役のイルファン・カーンが
あまりにフツーのオッサンで、もうちょいイケメンがよかったなぁ(失礼)。
それともインド人に人気のタイプはこんな感じなんでしょか。
そして、幼年時代のパイ役の男の子がめちゃ可愛くて賢そうだったのに対し、
大半に登場する少年役スラージ・シャルマは、
黙っているときはともかく、喋るとちょっと抜けているっぽい。
ま、だからこそリチャード・パーカーとの漂流が迫力を増したのかも。

カナダ人ライター役は、『ワン・デイ 23年のラブストーリー』(2011)にも出演していたレイフ・スポール。
この人はお父さんにそっくりな顔にならないことを祈るばかりです。(^^;

別れを言えなかったのが悲しくてたまらないというパイには、
『グッモーエビアン!』を思い出してしんみり。
疲れきって目を閉じるリチャード・パーカーにパイが触れるシーンには涙が溢れました。

大事なのは希望を失わないこと。
蛇足だろうと思うシーンもあったりして満点とは行かないけれど、
大画面で観ることをお薦めします。
IMAX3Dの2,200円を高いとは感じませんでしたから。

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