『ルック・オブ・サイレンス』(原題:The Look of Silence)
監督:ジョシュア・オッペンハイマー
『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』観賞後、シネ・リーブル梅田からテアトル梅田へ移動。
去年シネマート心斎橋で観た『アクト・オブ・キリング』(2012)。
本作はその姉妹編。どんよりした気持ちになることを覚悟で。
1965年から1966年にかけて100万人以上が殺された大虐殺。
ジョシュア・オッペンハイマー監督は、虐殺で兄を殺された青年アディに密着。
被害者の遺族である彼が加害者と対峙するさまを追っています。
眼鏡技師のアディは1968年生まれ。
兄のラムリは共産主義者だと疑われ、惨殺されました。
息子を失ったショックからか、歯が毎日1本ずつ抜けてゆく父親。
母親はそんな父親とともに悲しみに暮れ、
このままでは気が変になると思った頃、アディを授かります。
加害者と被害者が近所に住む村。
加害者は大虐殺をおこなった殺人者であるというのに、誰もが英雄気取り。
何の罪に問われることもなく、むしろ地域の有力者となって暮らしています。
そんな彼らに怯えながら、半世紀を生きてきた被害者の家族たち。
監督の提案により、加害者のもとを訪ねることにしたアディ。
眼鏡技師という職業のおかげで、加害者から警戒されることがありません。
検眼しながら話を振ると、加害者たちは当時の様子を得意げに話します。
自分が虐殺の責任者だったと鼻高々な彼らに、
実は自分は殺されたラムリの弟であるとアディが打ち明けると、
ほぼ全員が軍の指示でやっただけのことだからと責任を認めず、逆ギレします。
アディは、責めにきたわけではない、真実が知りたいだけだと言っているのに。
共産主義者は信仰がない、仲間同士で妻を交換しているなどの噂を信じ、
加害者たちは殺人を正当化していました。
殺害後は被害者の血を飲めば気が狂わずに済むとの話も信じ、
血を飲んだことも意気揚々と話す加害者たちを見て、
それが初耳で愕然とする妻や娘がようやくアディに謝罪の言葉を。
『アクト・オブ・キリング』同様、虫酸が走ります。
どうしてこんな殺人がまかり通っていたのか、
それがおかしいと誰も口に出せないのか。
『セデック・バレの真実』を観るまで、首狩りなんて野蛮なだけだと思っていましたが、
彼ら民族のことを何も知らずに野蛮だと言うのはちがうと考えを改めました。
しかし、この虐殺はそれとはちがう。
独裁政権に邪魔だと思われた無実の人間をただ殺しただけなんて。
エンドロールは今回も“ANONYMOUS(=匿名)”だらけ。
自分が撮りました協力しましたと言えない現実がまだそこにあります。
監督:ジョシュア・オッペンハイマー
『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』観賞後、シネ・リーブル梅田からテアトル梅田へ移動。
去年シネマート心斎橋で観た『アクト・オブ・キリング』(2012)。
本作はその姉妹編。どんよりした気持ちになることを覚悟で。
1965年から1966年にかけて100万人以上が殺された大虐殺。
ジョシュア・オッペンハイマー監督は、虐殺で兄を殺された青年アディに密着。
被害者の遺族である彼が加害者と対峙するさまを追っています。
眼鏡技師のアディは1968年生まれ。
兄のラムリは共産主義者だと疑われ、惨殺されました。
息子を失ったショックからか、歯が毎日1本ずつ抜けてゆく父親。
母親はそんな父親とともに悲しみに暮れ、
このままでは気が変になると思った頃、アディを授かります。
加害者と被害者が近所に住む村。
加害者は大虐殺をおこなった殺人者であるというのに、誰もが英雄気取り。
何の罪に問われることもなく、むしろ地域の有力者となって暮らしています。
そんな彼らに怯えながら、半世紀を生きてきた被害者の家族たち。
監督の提案により、加害者のもとを訪ねることにしたアディ。
眼鏡技師という職業のおかげで、加害者から警戒されることがありません。
検眼しながら話を振ると、加害者たちは当時の様子を得意げに話します。
自分が虐殺の責任者だったと鼻高々な彼らに、
実は自分は殺されたラムリの弟であるとアディが打ち明けると、
ほぼ全員が軍の指示でやっただけのことだからと責任を認めず、逆ギレします。
アディは、責めにきたわけではない、真実が知りたいだけだと言っているのに。
共産主義者は信仰がない、仲間同士で妻を交換しているなどの噂を信じ、
加害者たちは殺人を正当化していました。
殺害後は被害者の血を飲めば気が狂わずに済むとの話も信じ、
血を飲んだことも意気揚々と話す加害者たちを見て、
それが初耳で愕然とする妻や娘がようやくアディに謝罪の言葉を。
『アクト・オブ・キリング』同様、虫酸が走ります。
どうしてこんな殺人がまかり通っていたのか、
それがおかしいと誰も口に出せないのか。
『セデック・バレの真実』を観るまで、首狩りなんて野蛮なだけだと思っていましたが、
彼ら民族のことを何も知らずに野蛮だと言うのはちがうと考えを改めました。
しかし、この虐殺はそれとはちがう。
独裁政権に邪魔だと思われた無実の人間をただ殺しただけなんて。
エンドロールは今回も“ANONYMOUS(=匿名)”だらけ。
自分が撮りました協力しましたと言えない現実がまだそこにあります。