夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ヘイトフル・エイト』

2016年03月05日 | 映画(は行)
『ヘイトフル・エイト』(原題:The Hateful Eight)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン,カート・ラッセル,ジェニファー・ジェイソン・リー,
   ウォルトン・ゴギンズ,デミアン・ビチル,ティム・ロス,マイケル・マドセン他

スルーはできない存在のクエンティン・タランティーノ監督。
先週土曜日に1本だけ観る時間ができたので、なんばへ。

ところで、本作とは何の関係もない話ですが、
上手い商法だなぁと思うのがなんばパークスシネマ。
メンバーズカードを作成するには入会金も年会費もタダ、
かかる費用はカード発行手数料の100円のみ。
メンバーになってネット登録すると、1本観るごとに次回割引クーポンが発行されます。
1,800円のところを1,400円で観られるから、前売り券を買う必要なし。
しかも、劇場内の売店で買い物をするさいにもメンバーズカードを提示すれば、
なんらかのクーポンが当たるかもしれない抽選に自動的にエントリー。
今回も、先日来たときに当たった1,100円で観られるクーポンを使用して鑑賞。

と、なかなか楽しくはあるのですが、これって「なんばパークスシネマ地獄」。
もちろん無期限ではないから、期限内に行こうと考える。
しかし行けばまた次回割引クーポンが発行される。
結果、なんばパークスシネマへ行かなくてはいけない気になる。
だけど遠いのよ、なんばの端っこ。
この日も本作鑑賞後に急ぎ足で四つ橋線なんばまで歩かねばならず、
暑いわ、ふくらはぎパンパンに張るわ、疲れたのなんのって。

さて、本題。

南北戦争が終結してから数年経ったとおぼしき冬。
冷たい雪が降りしきるワイオミング州の山中、レッドロックへと向かう1台の駅馬車。
手綱を取る御者OB(オービー)の行く手をふさいで立ちはだかる男の姿が。

その男は賞金稼ぎのウォーレンで、お尋ね者3人の遺体を携えている。
まもなく猛烈な吹雪となることは間違いなく、その前にレッドロックに到着するのは困難。
レッドロックに最も近い停車場であるミニーの店までどうか乗せてほしいと言う。

OBが答えるには、この駅馬車は貸し切りだから、自分に決める権限はない。
どうしても乗りたいならば貸し切りの主に聞いてくれと。
そこでウォーレンが座席を覗き、借り主に直訴しようとすると、
借り主もまた賞金稼ぎのルースだった。

ルースは「首吊り人」の異名を持ち、
お尋ね者を捕らえたさいに支払われる賞金がたとえ「生死を問わず」となっていても、
必ず生かした状態でお尋ね者を連れて行く。
そして自分が捕らえたお尋ね者が絞首刑にされるのをじっくりと眺めるのだ。
そんなルースに手錠で繋がれ、隣に座らされていたのはドメルグ。
凶悪犯の女で、レッドロックで絞首刑に遭うというのに恐れている様子は皆無。

ルースの同意を得て駅馬車に同乗することになったウォーレンだったが、
もうひとり、同乗させてくれと言う男が現れる。
彼はレッドロックに赴任する予定の保安官マニックス。
賞金1万ドルがかかっているドメルグを
皆がグルになって狙っているのではとルースは疑うが、どうもその心配はなさそう。
一行は吹雪をしのぐためにミニーの店へと急ぐ。

ところが、ミニーの店には女主人のミニーが不在。
ミニーから店を預かっているというメキシコ人のボブがいて、
先客には絞首刑執行人のモブレー、カウボーイのゲージ、南軍の元将軍スミザーズ。
こうして冬の嵐の夜に偶然居合わせた者ばかりのはずだったが……。

8人と言うけれど9人やんと思っていたら、どうやらOBは計算の外。
「クセもの8人、全員ウソつき。生き残るのは誰だ!」というキャッチコピーもいささか難あり。
嘘つき合戦かと思いきや、そういうわけではないのです。
密室ミステリーと言うけれど、それもちょっと違うし。
相変わらず下品で、卑猥なシーンではちょっと目をそむけたくなったりも。
殺し方も半端ではありません。脳ミソ、飛ぶ飛ぶ。

だけど168分、まったく飽きさせず。
下品なところはエンニオ・モリコーネの音楽でカバー(笑)。
人物描写も丁寧で、監督がどのキャラクターにも愛情を持っていることがわかります。

いつも思うことですが、タランティーノ監督の作品の出演者は、
きっとものすごく楽しいのではないでしょうか。
この監督が嫌いだという人は別にして、出演者がものすごく楽しんでいて、
それがまた独りよがりでないことも伝わってくるから、
なんだかんだで観ている客も楽しめてしまう。やはり憎めません。

差別用語を連発させる監督だけど、
この監督こそ、「白人も黒人もない、いがみ合うなんてアホ」と思っているでしょう。
凄絶なラストなのに、ほっと安心してしまう光景です。

チャニング・テイタムが驚きの出演。え、そこにいたの(笑)。

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