夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『二ツ星の料理人』

2016年06月15日 | 映画(は行)
『二ツ星の料理人』(原題:Burnt)
監督:ジョン・ウェルズ
出演:ブラッドリー・クーパー,シエナ・ミラー,オマール・シー,
   ダニエル・ブリュール,ユマ・サーマン,エマ・トンプソン他

日本で公開される映画の本数は、ここ3年ずっと1,100本以上。
1955年から2012年までは1,000本を超えることはなく、
だいたい500本~800本前後が公開されていました。
その頃であれば、劇場で年間200本観たならばまぁ自慢できる数字かと思いますが、
公開本数1,000本以上となると、あれも観逃したこれも観逃したと後悔することしきり。
しかもどんどん公開されるから、そのぶん打ち切りになるのも早い。
前売り券を買ったのに、ぼやぼやしているともうやってない(泣)てなことに。

そんなわけで、数カ月前にムビチケを購入済みだった本作を公開直後に。
どうしても観たかった1本。なんばパークスシネマにて。
色気を感じる男、ブラッドリー・クーパーの主演です。
『アメリカン・スナイパー』(2014)のようなシリアス一辺倒の役もいいけれど、
こんなちゃらんぽらんな面も持ち合わせた役がよく似合います。

天才シェフの名をほしいままにしてきたアダム。
彼が勤めるパリの一流レストランはミシュランの二ツ星を獲得。
しかし、私生活に難を抱える彼は突然姿を消し、そのせいで店はつぶれる。

誰も彼の行方を知らず、死んだのではないかとの噂が流れる3年後。
かつてさんざん迷惑をかけたオーナー親子が経営するロンドンのホテルに
アダムはひょっこり姿を現し、シェフとして雇えと言いつのる。
オーナーの息子であり、優秀な給仕長でもあるトニーが呆れて追い返すと、
アダムは旧知の料理評論家を利用した強硬手段に打って出る。

仕方なくアダムを雇うことに決めたトニー。
だが酒乱のアダムに以前と同じような目に遭わされるのはまっぴらごめん。
トニーのかかりつけの医者のもとへアダムも通うことを条件とする。

アダムは全盛時代の料理人仲間ミシェルとマックス、
アダムを神と崇める若者デヴィッドをスカウト。
それに他店の女性スーシェフ、エレーヌを強引に引き抜くと、
絶対に三ツ星を取ると誓い、自分の名前を冠した新店をオープンさせるのだが……。

レストランの映画に料理や厨房のシーンが出てくるのは当たり前ですが、
従来の作品よりもオープン前の様子がわかるのが楽しい。
テーブルクロスを掛ける、カトラリーを並べる、その綿密に計算された配置。
また、ミシュランの覆面調査員の見極め方にも興味を引かれました。

料理さえ旨ければ客が来るというのはシェフの傲慢。
すべてのスタッフに支えられているのだということがわからなければ、店は成功しない。
ひとりでできるのならば、ひとりで店をやっていればいいわけで。

パリの店で同僚だったライバル、リースとのやりとりがとてもいい。
お互いに意識しすぎて喧嘩するけれど、
それでもいちばん辛いときを一緒に乗り切った仲間。
リースがアダムのためにオムレツをつくるシーンに泣きました。

アダムを演じるブラッドリー・クーパーはもちろんのこと、
シエナ・ミラーがシングルマザーのエレーヌ役を好演。
トニー役のダニエル・ブリュールも最近の出演作のなかでいちばん好き。
医者役のエマ・トンプソンがさすがの風格を見せています。

ミシュラン一ツ星でもルーク・スカイウォーカー
二ツ星ならアレック・ギネス。
三ツ星ならヨーダかダース・ベイダーだそうです。

料理の映画にはどうしても点が甘くなる私。これも大好き。

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