夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『PK』

2016年11月07日 | 映画(は行)
『PK』(原題:PK)
監督:ラージクマール・ヒラニ
出演:アーミル・カーン,アヌシュカ・シャルマ,サンジャイ・ダット,
   ボーマン・イラニ,サウラブ・シュクラ他

めちゃめちゃ良かったインド作品『きっと、うまくいく』(2009)。
その監督ラージクマール・ヒラニと主演アーミル・カーンのタッグふたたび。
観たい映画目白押しの秋ですが、これだけは絶対観逃したくない。
迷わず大阪ステーションシティシネマへ。

インド・ラージャスターン州に着陸した宇宙船から降り立ったのは、
はるか彼方の星からやってきた宇宙人男性。見た目は人間そのものだが素っ裸。
首からぶらさげたペンダント風のものが宇宙船と交信するためのリモコン。
自分たちと見た目を同じくする生物が暮らす地球の見学にやってきた。
偶然その場を通りかかった男性は、素っ裸で無邪気に微笑む男を見て唖然。
しかし次の瞬間には美しく輝くペンダントに目を奪われ、
いきなり素っ裸の男の首からペンダントをもぎ取り、逃走する。

同日のベルギー
テレビ番組の制作について学ぶために留学中の女性ジャグーは、
敬愛する詩人の講演会へと駆けつける。
ところがチケットは完売、仕方なくダフ屋から買おうとしたところ、
同様にチケットを求める男性サルファラーズと一悶着。
結局まったく別の人にチケットをかすめ取られ、ふたりとも憮然とするが、
これをきっかけにふたりは恋に落ちる。

ジャグーはインド人、サルファラーズはパキスタン人。
宗教を異にする相手との恋は御法度だと、ジャグーの両親は大反対。
勘当覚悟でジャグーはサルファラーズと結婚することに決めるが、
翌日挙式しようと約束した場所へサルファラーズは来なかった。

6カ月後。ジャグーはデリーテレビ局に就職、レポーターとして活躍中。
だが、あまりに内容の薄いネタにうんざりとしていた。
そんなときに見かけたのが、妙な格好をして「神様が行方不明」というチラシを配る男。
もしやネタになるのではとその男への取材を試みることに。

“PK(=酔っぱらい)”と名乗るその男が言うには、
「自分は宇宙人で、宇宙船と交信するためのリモコンを失ったせいで帰れない」。
そんな馬鹿げた話を信じようとはしなかったジャグーだが、
PKと過ごすうち、信じざるを得ない出来事を目にして……。

社会派のドラマでSFでラブコメディ。どんだけいろいろ盛り込むねん(笑)。
153分あっちゅうま。笑って笑って最後は嗚咽するほど泣きました。
近ごろ「歌って踊らないボリウッド」が増えてきましたが、これは多少は歌います踊ります。
そしてそのシーンのなんと楽しいこと。

世界にはさまざまな宗教があり、それぞれ神様がちがう。
祈る神がちがうというだけで、なぜこんなにも人は争うのか。
PKの素朴な疑問に、ホントだ、なぜだろうと考えている自分がいる。
彼と導師のやりとりに笑いつつも深く感じ入り、
平和を願ってやまない監督のメッセージがひしひしと。

『きっと、うまくいく』のほうがより好きではありましたが、
この監督の作品はやっぱり素晴らしい。これを観ないなんてもったいない。
今年のベスト1かもしれません。

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