『十二人の死にたい子どもたち』
監督:堤幸彦
出演:杉咲花,新田真剣佑,北村匠海,高杉真宙,黒島結菜,橋本環奈,吉川愛,
萩原利久,渕野右登,坂東龍汰,古川琴音,竹内愛紗,とまん他
TOHOシネマズ伊丹で『ミスター・ガラス』だけ観て帰るつもりでしたが、
どうせ来たんだからもう1本観ようという気持ちになり、本作を。
堤幸彦監督は、私の中ではちょっとビミョーです。
エンターテインメント性は総じて高いけれど、
ものすごく面白かったとかものすごく良かった思える作品はない。
でも、いつも言うとおり、観なきゃ文句も言えませんから。
期待度は低かったからか、あらら、意外に面白い。
原作は冲方丁の同名小説。未読です。読まなくちゃ。
人気若手俳優を集めるだけ集めて出しました、みたいなキャストです。
みんな上手いねぇ。
廃病院でおこなわれる「集い」に参加するためにやってきた未成年男女12人。
発案者のサトシ(高杉真宙)が用意した部屋で、今から集団安楽死をする予定。
12人はお互いに面識なく、今日が初対面。
集団安楽死するためのルールはひとつ。12人全員の意見が一致すること。
死ぬために集まったのが目的なのだから、当然意見は即一致するはず。
ところが事態はそうはいかない。
というのも、参加者は12人のはずなのに、なぜか13人目がいる。
皆が集まったときにはすでにその部屋で死んでいる様子で
ベッドに寝かされている13人目はいったい誰なのか。
状況から見て、自ら死を選んだのではなく殺されたようだ。
その謎が解明されてからでなければ死にたくない。
1人がそう言い出したせいで、自殺できなくなるのだが……。
議論を重ねるうち、自殺を考えるに至る思いをそれぞれが発露します。
いつ何が起きていたのか推理する誰かさんは賢すぎて、
そんなに簡単にわかるかよとツッコミどころいろいろで、
『ミスター・ガラス』に続いて失笑してしまうシーンも数知れず。
若い時分に死ぬことを考えるとき、命をあまりにも軽く考えすぎているのではと思うけれど、
意外にこんなものかもしれないと思ったりも。
12人の理由も、そりゃ死にたくなるよねと思えるものもあれば、
えっ、そんな理由で!?と思ってしまうものもあります。
だけど本人にとっては大問題。これからの人生の中では些細なことだとしても、
今の彼らにはそんなふうには決して思えない。
こうして誰かと話ができたらいいのに。
杉咲花ちゃん、『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(2018)では
あまりに恋愛ものが似合わなすぎてアカンと思いましたが、こういう役を演じるとド迫力。
彼女には今後も甘っちょろいラブストーリーに出てほしくない。
この路線でお願いします。(^^)