『バーニング 劇場版』(英題:Burning)
監督:イ・チャンドン
出演:ユ・アイン,スティーヴン・ユァン,チョン・ジョンソ他
この日、TOHOシネマズ西宮に行くかTOHOシネマズなんばに行くかを迷って
結局なんばに決めたのは、本作の上映がなんばのみだったからです。
どうして劇場版なのかと思ったら、昨年末にNHKで短縮版が放映されたとのこと。知らなんだ。
第91回アカデミー賞外国語映画賞に韓国代表作としては初めて最終選考に残ったとか。
韓国の公開初日動員記録が歴代2位。ちなみに1位は『デッドプール2』(2018)。
『デッドプール2』とは作風が違いすぎてワラける。
原作は村上春樹の短編『納屋を焼く』で、客層も村上春樹ファンっぽい。
私は学生時代にはよく読んだものの、今はとんとご無沙汰で、
これが収録されている『螢・納屋を焼く・その他の短編』も読んだはずですが覚えていません。
とにかくしかし、こんな殺人が絡むミステリードラマではないですよね。
この原作が村上春樹だなんてとしばし呆然。
監督がイ・チャンドンだということを失念していたせいです。
『ペパーミント・キャンディー』(1999)、『オアシス』(2002)の監督で、
『フィッシュマンの涙』(2015)では製作総指揮を担当、
『わたしたち』(2015)の企画もしているイ・チャンドン。
そんな人が撮ったら、そりゃこうなるかとニヤリ。ヘヴィーだぁ。
大学を卒業後、小説家を目指してアルバイト生活を送るイ・ジョンスは、
街で見覚えのない女性から親しげに声をかけられる。
彼女は幼いころ近所に住んでいたシン・ヘミで、整形をしたのだという。
すっかり美しくなり、プロポーションも抜群のヘミにジョンスはびっくり。
ヘミから飲みに誘われたジョンスは、彼女がしばらくアフリカへ行くと聞かされる。
その旅行期間中に、ヘミのアパートで飼っている猫の餌やりを頼まれるが、
何度訪れても猫の姿は見えない。そこに猫は本当に存在するのか。
2週間後、帰国するとの連絡があり、喜んで迎えに行くジョンス。
ところがヘミはひとりではなく、旅先で知り合ったという男性ベンと一緒。
高級マンションに住み、ポルシェに乗り、料理が得意なベン。
ジョンスは自分とさほど歳の変わらないベンに嫉妬を感じるのだが……。
ネタバレ全開です。
妙な三角関係が続いたあと、ジョンスはヘミと一切連絡が取れなくなります。
ベンが何か知っているにちがいないと尋ねても、ベンは知らないと言う。
ベンのマンション前に張り込んで行動を監視するうち、
ヘミは彼に殺されたのかもしれないと思いはじめるジョンス。
ベンの部屋には、ヘミが飼っていたとおぼしき猫がいるし、彼女の腕時計も抽斗に隠されている。
ジョンスがベンを殺すという凄惨な場面で幕が引かれ、
これはどういうことなのか、意味不明だと思う人も多そう。
ベンのことを連続殺人鬼だとする解釈もできそうですが、それではすっきりしない。
私なりに納得の行く解釈をしてみると、ベンの新しい彼女は整形をしたヘミ。
ヘミがアフリカで見たという踊りは、パントマイム教室の踊りと同じだったから、
おそらくヘミはアフリカになど行っていない。
借金の返済に追われて姿を隠すために整形し、その事情をすべて知る協力者がベン。
彼女の猫がいるのも、飼い主が殺されたからではなく、そこに整形した飼い主がいるから。
事情を説明しようとジョンスに会いに来たのに、ベンはいきなり刺されてしまった。
……というのでどうですか。
いずれにしても、村上春樹の原作とは異質だろうと思うのですが、
レビューサイトを覗くと、村上春樹を感じるという感想がありますね。
30年ぶりに『納屋を焼く』を読んでみなければ何とも言えません。
『納屋を焼く』の項をウィキペディアで読んでみると、
なるほど、納屋をビニールハウスに置き換えただけで、あらすじだけ読むと同じだわ。
同じだけど、違う。
村上春樹と関係なく、映画として非常に面白かったけれど、
これは絶対、私のまわりの誰にも薦められません。
いや、ごくわずか、何人かは薦めてもよさそうな人がいるかなぁ。
イ・チャンドン、重すぎる。
監督:イ・チャンドン
出演:ユ・アイン,スティーヴン・ユァン,チョン・ジョンソ他
この日、TOHOシネマズ西宮に行くかTOHOシネマズなんばに行くかを迷って
結局なんばに決めたのは、本作の上映がなんばのみだったからです。
どうして劇場版なのかと思ったら、昨年末にNHKで短縮版が放映されたとのこと。知らなんだ。
第91回アカデミー賞外国語映画賞に韓国代表作としては初めて最終選考に残ったとか。
韓国の公開初日動員記録が歴代2位。ちなみに1位は『デッドプール2』(2018)。
『デッドプール2』とは作風が違いすぎてワラける。
原作は村上春樹の短編『納屋を焼く』で、客層も村上春樹ファンっぽい。
私は学生時代にはよく読んだものの、今はとんとご無沙汰で、
これが収録されている『螢・納屋を焼く・その他の短編』も読んだはずですが覚えていません。
とにかくしかし、こんな殺人が絡むミステリードラマではないですよね。
この原作が村上春樹だなんてとしばし呆然。
監督がイ・チャンドンだということを失念していたせいです。
『ペパーミント・キャンディー』(1999)、『オアシス』(2002)の監督で、
『フィッシュマンの涙』(2015)では製作総指揮を担当、
『わたしたち』(2015)の企画もしているイ・チャンドン。
そんな人が撮ったら、そりゃこうなるかとニヤリ。ヘヴィーだぁ。
大学を卒業後、小説家を目指してアルバイト生活を送るイ・ジョンスは、
街で見覚えのない女性から親しげに声をかけられる。
彼女は幼いころ近所に住んでいたシン・ヘミで、整形をしたのだという。
すっかり美しくなり、プロポーションも抜群のヘミにジョンスはびっくり。
ヘミから飲みに誘われたジョンスは、彼女がしばらくアフリカへ行くと聞かされる。
その旅行期間中に、ヘミのアパートで飼っている猫の餌やりを頼まれるが、
何度訪れても猫の姿は見えない。そこに猫は本当に存在するのか。
2週間後、帰国するとの連絡があり、喜んで迎えに行くジョンス。
ところがヘミはひとりではなく、旅先で知り合ったという男性ベンと一緒。
高級マンションに住み、ポルシェに乗り、料理が得意なベン。
ジョンスは自分とさほど歳の変わらないベンに嫉妬を感じるのだが……。
ネタバレ全開です。
妙な三角関係が続いたあと、ジョンスはヘミと一切連絡が取れなくなります。
ベンが何か知っているにちがいないと尋ねても、ベンは知らないと言う。
ベンのマンション前に張り込んで行動を監視するうち、
ヘミは彼に殺されたのかもしれないと思いはじめるジョンス。
ベンの部屋には、ヘミが飼っていたとおぼしき猫がいるし、彼女の腕時計も抽斗に隠されている。
ジョンスがベンを殺すという凄惨な場面で幕が引かれ、
これはどういうことなのか、意味不明だと思う人も多そう。
ベンのことを連続殺人鬼だとする解釈もできそうですが、それではすっきりしない。
私なりに納得の行く解釈をしてみると、ベンの新しい彼女は整形をしたヘミ。
ヘミがアフリカで見たという踊りは、パントマイム教室の踊りと同じだったから、
おそらくヘミはアフリカになど行っていない。
借金の返済に追われて姿を隠すために整形し、その事情をすべて知る協力者がベン。
彼女の猫がいるのも、飼い主が殺されたからではなく、そこに整形した飼い主がいるから。
事情を説明しようとジョンスに会いに来たのに、ベンはいきなり刺されてしまった。
……というのでどうですか。
いずれにしても、村上春樹の原作とは異質だろうと思うのですが、
レビューサイトを覗くと、村上春樹を感じるという感想がありますね。
30年ぶりに『納屋を焼く』を読んでみなければ何とも言えません。
『納屋を焼く』の項をウィキペディアで読んでみると、
なるほど、納屋をビニールハウスに置き換えただけで、あらすじだけ読むと同じだわ。
同じだけど、違う。
村上春樹と関係なく、映画として非常に面白かったけれど、
これは絶対、私のまわりの誰にも薦められません。
いや、ごくわずか、何人かは薦めてもよさそうな人がいるかなぁ。
イ・チャンドン、重すぎる。