夜な夜なシネマ

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『恐怖の報酬』【オリジナル完全版】

2019年02月17日 | 映画(か行)
『恐怖の報酬』(原題:Sorcerer)
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:ロイ・シャイダー,ブルーノ・クレメル,フランシスコ・ラバル,
   アミドウ,ラモン・ビエリ,ピーター・カペル,カール・ジョン他

前述の『アメリカン・ミュージック・ジャーニー』と同じく、塚口サンサン劇場にて。
ちょっと前にナナゲイで観逃して後悔していたら、塚口に来てくれました。

『エクソシスト』(1973)のウィリアム・フリードキン監督が
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督のフランス/イタリア作品、
『恐怖の報酬』(1953)をリメイクしたのが1977年。

『フレンチ・コネクション』(1971)はアカデミー賞で5部門も受賞したし、
フリードキン監督がコケるわけはない。そう誰もが思ったのでしょう。
ユニバーサルパラマウントが現在の100億円に相当する額を出資。
数年にわたる製作期間を費やして完成させたものの、
当時は折しもの“スター・ウォーズ”ブームで、この超大作も入り込む隙なし。
フリードキン監督に無断で約30分カットされた【短縮版】が配給→公開→即終了。
さらにはユニバーサルとパラマウントというメジャーすぎる会社が共同出資したために、
誰に権利があるねんとワケわからん状態になって、
アメリカ以外では上映もできず、ビデオもDVDも発売不可に。

ここへ来てようやく監督自ら配給会社を提訴、権利者を特定。
勝手にカットされた30分を戻して修復に着手。
2013年のヴェネツィア映画祭でプレミア上映されたのを皮切りに、
欧米各地で再上映されてやっと正当な評価を得たという大変な作品です。

とはいうものの、私はクルーゾー監督のオリジナル版を観ていないし、
フリードキン監督の短縮版も観ていません。
それで面白さがわかるのか。いんや~、面白かったです。

実は上映中に前代未聞のハプニングがありました。
前方の席に座っている兄ちゃんと爺ちゃんが喧嘩を始めたんです。
おそらく爺ちゃんがケータイをいじり、兄ちゃんが注意した。
それに爺ちゃんがキレた模様。兄ちゃんが劇場スタッフを呼びに行くも、
爺ちゃん「おまえは映画だけ観とけばええやろ。やかましいんじゃ!」。
そんな恐ろしいジジイをスタッフが追い出せるわけもなく。
結局兄ちゃんのほうが退場。たぶんスタッフから返金の申し出でも受けたのでしょう。
上映中の喧嘩なんて迷惑だけど、ここまで大声の怒鳴り合いは申し訳なくも逆にワラけます。

という話はさておき、
私のように『恐怖の報酬』まったく知らんという人のために簡単にあらすじを。

メキシコ・ベラクルスで標的を射殺した殺し屋
イスラエル・エルサレム爆弾テロを実行した男。
フランス・パリで不正取引を追及された投資家
アメリカ・ニュージャージーで教会を襲撃してビンゴ売上金を強奪した男。
いずれも身を隠さねばならなくなった男4人が流れ着いたのは南米奥地。
油井で火災が発生し、責任者らは消火の手段を考える。
唯一の方法として思いついたのは、ニトログリセリンを使用すること。
しかし、そのニトログリセリンは油井から200マイル離れた小屋にある。
ヘリコプターで運ぶのは無理、トラックに積んで運ぶしかない。
高飛びをするための金を得たくて、運搬役に応募する4人。

ジャングルの中、ニトログリセリンを積んで200マイル。
22マイルでも大変なのに、200マイルって。
雨がじゃんじゃか降る日もあれば、吊り橋に遭遇する日も。
道の真ん中に大木が倒れていたり、ものすごくハラハラドキドキ。

「特別音響上映」とやらだったため、楽しさたぶん倍増。
そこへ例の客同士の喧嘩もあったものだから(最初は劇中の登場人物の会話かと思った)、
忘れられない鑑賞となりました。

上映終了後、出口でスタッフが深々と頭を下げて、
「ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ありませんでした」と招待券を全員に。
いや、劇場の方々は誰もちっとも悪くないし。
招待券をいただけるなんてラッキーです。すみません。

ひとつ気になるのは、あの爺さんもその招待券を貰ったのかということ。
それはちょっとどうかと思う。(^^;
兄ちゃんは気の毒でしたねぇ。あなたのほうが正しいのに。
でも、腹が立っても劇場で注意はできません。
相手がいったいどんな人なのかわからないし、
そもそも注意してやめるような人は、最初からケータイを見ないから。
困ったものですねぇ。

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