『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
監督:片渕須直
声の出演:のん,細谷佳正,稲葉菜月,尾身美詞,小野大輔,潘めぐみ,
岩井七世,牛山茂,新谷真弓,小山剛志,津田真澄,澁谷天外他
TOHO1ヶ月フリーパスポート所持期間中だから、
なんばまで行けば本作も無料で観られるけれど、なんばまで行く馬力が出ない。
どっちみちなんばまで行けば駐車料金が必要になるから、
終業後に気軽に寄れる109シネマズ大阪エキスポシティにて有料で。
大ヒットした『この世界の片隅に』(2016)の完全版とのこと。
もともとアニメとしては長い上映時間の129分だったのに、これは168分。
クラウドファンディングによって資金調達したのだから、
2016年版が最上の形の完成作品だったのではなかろうか。
『恐怖の報酬』(1977)のように、監督の意思を無視してぶった切られたのならともかく、
予想外にヒットしたからこんなのもやっちゃおうという魂胆が透けて見える。
2016年版の上映時には毎回立ち見が出ていたテアトル梅田は、
本作にすべて賭ける意気込みらしく、他作品の上映がほとんどなし。
それもどうだかと思っていたため、批判的な目で鑑賞に臨みました。
おおまかな物語の内容は覚えているけれど、
3年以上前に観たものを全部覚えているほど記憶力はよくありません。
でも追加シーンを観ればここは初めてだということはわかる。
道に迷ったすずが遊郭に入り込んでしまい、
親切に道を教えてくれた美しい娼妓・リンと仲良くなる。
これが描かれることによって、すずの周作への想いが浮き彫りに。
片渕須直監督が2019年版の公開について、
2016年版ではすずの気持ちを表すシーンがあまりなかったからとおっしゃっていたとのこと。
確かに、いつものんびりしている彼女の頭の中がわかります。
1945(昭和20)年9月の枕崎台風の折、何もかもが吹っ飛びそうになっても、
笑うことを忘れなかった北條家の人々がたくましく素晴らしい。
儲ける気満々で公開したにちがいないと意地悪目線で観はじめた本作でしたが、
2016年版で好きだったシーンはやっぱり好きだったし、
追加シーンも含めてやっぱり笑って泣きました。
クラウドファンディングによって資金を調達したからこそ、
参加者たちの想いに応えるべく、こうして完全版を見せたかったのだと思います。
168分、ちっとも長く感じませんでした。