『ダウントン・アビー』(原題:Downton Abbey)
監督:マイケル・エングラー
出演:ヒュー・ボネヴィル,エリザベス・マクガヴァン,マギー・スミス,ミシェル・ドッカリー,
ローラ・カーマイケル,アレン・リーチ,ジム・カーター,イメルダ・スタウントン他
声の出演:玉野井直樹,片貝薫,一城みゆ希,甲斐田裕子,坂井恭子,星野健一,中村浩太郎,小宮和枝他
イギリス最古かつ最大の民間放送局の制作で、
世界中で大ヒットしたTVシリーズとのことなのですが、
私は本作の公開まで名前を耳にしたことすらありませんでした。
予告編を観るかぎりでは「グランド・ホテル形式」のようで、
お屋敷とその使用人たちの日々を描いているとなれば、
私の大好きな『ゴスフォード・パーク』(2011)みたい。
字幕版と吹替版が公開中で、「洋画は字幕で観る派」としては迷わず字幕版を選ぶところ。
しかし前日も終業後に映画を2本ハシゴして、この日はたいがいへろへろ。
睡魔に襲われても台詞は頭に入ってきそうな吹替版を選択。
オープニングロール前にさくっとTV版の説明があります。
これは吹替ではなく英語で字幕付き。
あまりに登場人物が多くてとても覚えきれませんが、それでもなんとなくはわかる。
なんとなくわくわくしながら物語は始まるのでした。
6シーズン続いたTVドラマ版の最終回から数年後という設定だそうです。
1927年の英国、グランサム伯爵ロバート・クローリーが当主を務める大邸宅“ダウントン・アビー”に、
ジョージ5世国王とメアリー王妃が宿泊するという知らせが舞い込む。
たいへんな栄誉に一家も使用人たちも緊張しつつ大喜び。町もその噂で持ちきり。
ダウントンを切り盛りする長女メアリーは、現執事トーマス・バローに不安を感じ、
引退した元執事チャールズ・カーソンに助けを求める。
久々の出番に張りきるカーソンに対し、バローはすっかりスネてしまう。
国王夫妻を迎える準備を整えるダウントンだったが、
事前に下見に来た従者たちは途轍もなく高慢ちき。
夫妻の世話をする執事もメイドもお針子も料理人も、
すべて連れてきて自分たちでおこなうから、
ダウントンはいっさい手出しをするなとの一方的なお達し。
ダウントンの使用人たちは憤慨しつつも最初は渋々従っていたものの、
アンマリな扱いにこのまま引き下がってたまるものかと思いはじめ……。
公開中に間に合えば字幕版も観るつもりですが、吹替版の楽しさを知った気がします。
TVシリーズのファンが多いのか、観客席から笑いが絶えず、とてもよい雰囲気。
特に楽しいと思ったのは、マギー・スミス演じるバイオレットの台詞。
使用人を蔑視した差別発言もユーモアを交えて温かみがあり、
ここまでダウントンを守ってきた女主人の力強さを感じます。
伯爵三女の夫トム・ブランソン役のアレン・リーチも良いですねぇ。
どこかで見た顔やと思ったら、彼は『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)のポールではないですか!
もとは運転手を務めていた彼は、三女を亡くした身。
クローリー家のなかにあっては平民も平民の彼は、
だからこそいろんな人の気持ちがわかる。
イメルダ・スタウントン演じる王妃の女官モード・バッグショーのメイドとの恋は
誰もが応援したくなるでしょう。
『ボラプ』ではあんなに嫌な奴だったのに、なんてええ奴。(^o^)
ゲイが集う飲み屋に警官が突入してその場にいた全員が逮捕されるシーンまであり、
邸宅内にとどまらず、当時のさまざまな社会問題も描かれていそうです。
できればTVシリーズも観たいけどなぁ。
こうして映画を観ているかぎり、その時間はつくれそうにありません。
面白かった!
で、後日。
吹替版が思いのほか面白かったので、字幕版も観ることにしました。
TOHOシネマズ西宮まで行けばタダで観られるのですが、遠い。
109シネマズ箕面でも上映中だったから、
行って帰っての時間と疲労度を考えて、近場で手を打つ。
レイトショーの回、なんと“おひとりさま”でした。
字幕版と吹替版、どちらかと言えば吹替版に軍配。
バッキンガム宮殿から手紙が来たとき、「何の手紙?」と尋ねられた使用人の答え方は、
字幕版では「内緒」、吹替版では「腰を抜かすよ」でした。後者のほうが楽しいでしょ。
マギー・スミス演じる皮肉屋の女帝の台詞は字幕も吹替もどちらもよかったです。
あぁ、やっぱりTVシリーズ観たい。