夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『アビゲイル』

2024年09月24日 | 映画(あ行)
『アビゲイル』(原題:Abigail)
監督:マット・ベティネッリ=オルピン,タイラー・ジレット
主演:メリッサ・バレラ,ダン・スティーヴンス,キャスリン・ニュートン,ウィル・キャトレット,ケヴィン・デュランド,
   アンガス・クラウド,アリーシャ・ウィアー,マシュー・グード,ジャンカルロ・エスポジート他
 
TOHOシネマズ梅田にて、前述の『侍タイムスリッパー』を観たあと、歪な形状のシアター5へ。
こちらは100人も入らないところ、ほぼ満席。
この手のホラー作品は若者にたいそう人気のようで、2人連れはもちろんのこと5人連れも見かけました。
『侍タイムスリッパー』と上映シアターを逆にしてもよかったと思いますが、
あまり大きなシアターでホラーを観るのもなんだか違う気がするから、これが正解か。
 
余談ですが、今年同じタイトルの作品があったじゃん、たいして面白くなかったのに再上映するの?と思ったら、
それは『ARGYLLE/アーガイル』でした。全然ちゃうやん。(^^;
 
監督は“スクリーム”シリーズをはじめとするとことんホラーのコンビだから、私は無縁。
 
12歳の少女を誘拐する目的で集められた6人はそれぞれに得意分野があるが、お互い素性を知らない。
侵入先の家を見れば大富豪であることは歴然としているものの、いったい誰の家なのか。
とにかく少女を拉致することに成功し、6人は首謀者のランバートから指定された場所へと向かう。
 
それは人里離れた屋敷で、ランバートが6人の到着を待ち構えていた。
6人は本名を名乗ることを禁じられ、不満を唱えるメンバーにランバートが命名。
ジョーイ、フランク、サミー、ピーター、ディーン、リックルズと呼び合うように言われる。
さらにはここで少女を監禁していることがバレては困るからとスマホも没収される。
ランバートは少女の父親から身代金をもぎとるまで24時間ここで潜んでいるようにと言い残し、出て行く。
 
少女の子守役を引き受けたジョーイは、泣きじゃくる少女の名前がアビゲイルであると知る。
父親が誰なのかをジョーイが問うと、アビゲイルは教えられないと頑なな態度を見せるが、
父親は自分のことなど愛していないから誘拐に遭っても気にしないし、犯人のあなたたちこそ気の毒だと言う。
 
ジョーイから報告を受けたフランクがアビゲイルを問い詰めたところ、父親の名前が判明。
その瞬間、フランクは降りると言い出す。
なぜなら父親はクリストフ・ラザロ、都市伝説かと疑われるほどの悪行を噂される人物だったから。
慌ててフランク以外のメンバーも降りようとするが、屋敷は施錠されていて出ていけない。
 
やがて、ディーンが首をもぎとられた遺体となって発見される。
残虐な行為をものともしないラザロの手下が屋敷に潜んでいるのかと思いきや、
少女のはずのアビゲイルが古代から生き続ける吸血鬼だとわかって……。
 
冒頭、“白鳥の湖”を踊るアビゲイル。
そのあまりの可憐さに、この子役は本当のバレリーナなのかと思いました。
現在14歳のアリーシャ・ウィアーは8歳のときにミュージカルデビュー。
その後もミュージカルやドラマ、映画などに出演し、幼いながらもキャリアを築き続けているようです。
本作のためにバレエを学び、スタントなしで役をこなしたそうな。めちゃくちゃ上手くて怖くなる。
 
アビゲイルを誘拐するために集められたのではなく、アビゲイルの餌食として集められた面々。
適当に選び出されたわけじゃなく、直接的か間接的か、ラザロにあかんことをしている。
序盤で殺されてしまったディーンとリックルズが何をしたのかは教えてもらえないまま。
ついでながらディーン役のアンガス・クラウドは昨年25歳で他界。これが遺作とは若すぎて無念。
 
犯行グループのメンバーがみんな難ありのため、アビゲイルの味方をしたくなりましたが、
あまりに恐ろしい吸血鬼でやっぱりジョーイを応援することに。
昔はたいそうなイケメンだったダン・スティーヴンスはやっぱりそうなるのね。えげつないのよフランク。
 
ジョーイとアビゲイルの様子が最後ちょっと切なくて、良いホラーを見せてもらいました。

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『侍タイムスリッパー』

2024年09月24日 | 映画(さ行)
『侍タイムスリッパー』
監督:安田淳一
出演:山口馬木也,冨家ノリマサ,沙倉ゆうの,峰蘭太郎,庄野崎謙,紅萬子,福田善晴,
   井上肇,安藤彰則,田村ツトム,多賀勝一,吹上タツヒロ,佐渡山順久他
 
8月のお盆の頃に池袋のミニシアターたった1館で上映を開始したら、
瞬く間に口コミで「面白い」と評判になり、ひと月経とうとする今、
全国100館以上で上映されることになったという正真正銘の自主製作映画です。
 
ミニシアターどころかシネコンでも上映されるようになったというから凄い。
まさに『カメラを止めるな!』(2018)の勢い再び、という感じだけれど、
なんぼなんでもTOHOシネマズ梅田のシアター3でというのは読み違いじゃないでしょか。
だってここは同劇場で3番目に大きなシアターで、470人以上入るんですから。
もう少し徐々に拡げて行けばよいものを最初からこれでは。昼間の回、2割の入りです。
 
でも、口コミで噂になるだけあって面白いのは事実。
 
幕末の京都。剣豪として名を馳せる会津藩士・高坂新左衛門(山口馬木也)は、
長州藩士・山形彦九郎(庄野崎謙)を討つように命じられ、そのときを迎える。
強者同士が刃を交えたところ、突然落雷に見舞われて意識を失う。
 
目を覚ました新左衛門は、どうもまわりの様子がおかしいことに気づく。
自分と同じ侍の格好をした者もいるが、見たことのない格好をしている者も。
しかも町人たちが同じふるまいを繰り返し、訳がわからない。
 
しばらくして、おなごが絡まれているところ、「心配無用之介」なる侍が助けに来たのを見て、
居ても立ってもいられなくなった新左衛門が「助太刀いたす!」と飛び出すと、
「カット!」の声がかかり、えらく怒られる。そう、そこは現代の時代劇撮影所の中だったのだ。
 
江戸幕府が滅んでから140年が経っていることを町のポスターで知る新左衛門。
しかしその江戸時代から来た本物の侍だと言ったところで誰にも信じてもらえないだろう。
行くあてもなく彷徨ううち、自分が彦九郎とにらみ合った寺の前にたどり着く。
そこで倒れているところを寺の住職夫婦(福田善晴&紅萬子)が見つけて介抱する。
 
寺は撮影のロケに必ず使われているらしく、時代劇の助監督・山本優子(沙倉ゆうの)と住職夫婦は懇意。
撮影所をうろついていた新左衛門の行く先を気にしていた優子は、住職から連絡を受けて駆けつける。
新左衛門を記憶喪失の時代劇役者だと思い込み、住職夫婦は彼の面倒を見ることに。
真実を口に出せない新左衛門もまた、この世で斬られ役として身を立てようと考えて……。
 
安田淳一監督が貯金を使い果たしたことをSNSに投稿していますが、
エンドロールを見れば誰もが手弁当で参加していることがありありとわかる。
キャストと裏方の名前が同じなんだもの。皆さんよう頑張りましたねぇ。
 
時代劇に苦手意識のある人には本作から入ることをお勧めしたいぐらいです。
こんな時代があったこともわかるし、いま時代劇が置かれている状況もわかる。
そして、見ている人は見ていてくれるのだということを信じたくなる。
 
日本一の斬られ役、故・福本清三に今もう一度、これからもずっと敬意を表して。
シネコンの大きなシアターがいっぱいになるまで上映が続きますように。

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