夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『きみの色』

2024年09月09日 | 映画(か行)
『きみの色』
監督:山田尚子
声の出演:鈴川紗由,髙石あかり,木戸大聖,やす子,悠木碧,寿美菜子,戸田恵子,新垣結衣他
 
公開初日のレイトショー、前述の『ACIDE/アシッド』と同じくイオンシネマ茨木にて。
 
『映画 聲の形』(2016)の監督&脚本コンビニよるオリジナルストーリー
そうです、私がそれだけで凄いと思うオリジナル脚本。
けどこれも監督よりも髙石あかりが気になっていた部分が大きいです。
 
クリスチャン系の女子高に通う日暮トツ子は、幼い頃から人のことが「色」で見える。
おかしな奴だと思われるだろうから、誰にもそんな話をしたことはない。
美しい青色を放つ同校生の作永きみのことが気になり憧れていたが、
話す機会もないままにきみが自主退学してしまったと知り、残念に思う。
 
そんなある日、きみが古書店でバイトをしているらしいとの噂を耳にし、
偶然を装って入店してみると、ギターを弾くきみの姿が。
咄嗟に口をついて出たのは「バンドを組まないか」という言葉。
たまたま来店中だった男子高校生の影平ルイが綺麗な緑色を放っていたことから、
勢いでルイも誘うと参加したいと、即答が返ってきて……。
 
悪い人が出てこない話というのはなんだかんだで落ち着く。
そのせいでドキドキ感はいっさいないから、ところどころ睡魔に襲われたのも事実です。
 
トツ子は家庭に問題があるふうではないけれど、毎日聖堂にひとりでいる。
目立たずおとなしい彼女には友だちもいないようで、“ぼっち・ざ・ろっく!”とかぶるものの、
敬虔なクリスチャンらしき設定に、宗教臭の強い作品が割と苦手な私は少し引き気味。
 
一方のきみは、学校でも人気者だったのに、なぜか急に辞めてしまう。
親に代わってきみを育ててくれている祖母に、学校を辞めたことを伝えられません。
しかしこんな私立の学校を保護者に内緒で辞めるなんて無理じゃなかろうか。
 
ルイは小さな島の診療所を経営する医者一族に生まれ、継ぐのは必至。
医学部を目指す優秀な学生で、自分の進む道もきっちり決めていますが、
音楽が大好きで趣味として続けていることを母親に言えない。
彼が演奏するのがテルミンという点には非常に惹かれました。面白い。
 
良くも悪くも平和に話が進みすぎると思っていたところ、終盤の演奏シーンは白熱。
3人の演奏がとてもよかった。
品行方正にしか見えないシスター日吉子がギターについて熱く語るところは笑いました。
新垣結衣が声を担当するこのシスターが素敵すぎて、飛び入り演奏してほしかったぐらい。
 
終わってみれば眠かったシーンがあることも忘れ、うん、まぁよかったと思うのでした。

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『ACIDE/アシッド』

2024年09月09日 | 映画(あ行)
『ACIDE/アシッド』(原題:Acide)
監督:ジュスト・フィリッポ
出演:ギヨーム・カネ,レティシア・ドッシュ,パションス・ミュシェンバック,
   クレマン・ブレッソン,マルタン・ヴェルセ,マリー・ユンク他
 
台風直撃かと思ったら、大阪はたいした雨が降るでもなく通り過ぎそうな気配。
劇場もとりあえずオンラインチケット販売を止めるも毎朝再開して休館は無し。
 
雨の日にはあまり観たくないようなフランス作品。
上映初日、台風の影響で雨が降り出した晩に鑑賞しました。
 
どうでもいいことですが、主演のギヨーム・カネのことをなんとなく調べてみたら、
一時はダイアン・クルーガーと結婚していたことを知らなくてビックリ。
そしてマリオン・コティヤールとの間に子どもがいることを知ってまたビックリ。
 
労働争議の先頭に立ったミシャルは、暴力的な行動に出たせいで逮捕されたばかりか、
暴走するシーンを収めた動画が世に出回ったせいで、白い目で見られるように。
妻エリーズとは離婚、彼女が引き取った一人娘セルマは寄宿学校で父親のことをからかわれて逆上。
あの親にしてこの子と問題視されているのが現状。
 
そんなある日、空から酸性雨が降り出す。この雨を浴びれば体が溶け出して死に至る。
学校に行ったきりのセルマを心配してエリーズは迎えに行こうとするが、車がない。
兄ブリスに電話するも連絡つかず、致し方なくミシャルを頼ることに。
ミシャルの車でエリーズのもとへと向かい、ようやく連絡のついたブリスと合流先を決める。
 
ところが車が故障、3人はほかの避難者らの行列に加わって歩きはじめる。
その途中、はぐれたエリーズが橋から落下、溺れるうちに溶けて亡くなってしまう。
悲嘆するセルマを強引に引っ張り、雨が降り出す前に屋内へ逃げ込みたいミシャル。
 
ミシャルが疲労困憊して倒れたとき、招き入れて介抱してくれたのがデボラ。
彼女は腎臓疾患のある幼い息子ウィリアムとふたりでこの家に住み続けているが、
ミシャルが見たところ、ここもやがて崩れてしまいそうで……。
 
最初の労働争議のシーンは果たして要るのかどうか疑問。
どうやら争議に発展した理由は、ミシャルの同僚で移民女性のカリンが勤務中に怪我をして、
その補償を会社が怠ったためのようだけど、説明が少なすぎて不親切。
そして今ミシャルはカリンと恋仲にあり、この状況下で再会を約束しています。
 
ミシャルの足首には監視装置が取り付けられているけれど、
だから逃げられないわけというでもなくて、この設定の必要性も感じません。
 
ミシャルはとにかくカリンに会いたいから、ブリスのもとへは行こうとしない。
せっかく助けてくれたデボラに食べ物を分けてくれないことに嫌味を言ったりもして、
一見熱い善い男だけれど、普通に嫌な面もいろいろと持ち合わせています。
人間らしいといえば人間らしいし、ギヨーム・カネが演じるとそこまでの嫌悪感は抱かない。
 
こんな感じで場面の必要性にいろいろと疑問を感じますし、
酸性雨の恐怖もハリウッドのディザスタームービーのそれとは違っておとなしい。
しかも「これで終わり!?」というエンディング。
 
労働問題、移民問題、夫婦の問題に親子の問題。病に罹った幼い子。環境汚染。
何も解決しとらんじゃあないか。どうすればいいですか。(^^;

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