『ネネ エトワールに憧れて』(原題:Neneh Superstar)
監督:ラムジ・ベン・スリマン
出演:ウミ・ブルーニ・ガレル,マイウェン,アイサ・マイガ,スティーヴ・ティアンチュー,セドリック・カーン他
シアタス心斎橋にて、前述の『室井慎次 生き続ける者』先行上映2回目を観る前に鑑賞しました。
フランス作品。監督は本作が長編2作目となるラムジ・ベン・スリマン。
内容的に女性監督なのかと思ったら、1982年生まれの男性監督でした。
アフリカ系フランス人の少女ネネは12歳。パリ郊外の団地で両親と3人暮らし。
オペラ座のバレエ学校の入試を受けに行くと、周囲はバレエ教育を幼い頃から受けてきた富裕家庭育ちばかり。
しかしそんなことをまるで気にしないネネは実に自由に踊り、審査する教師たちを驚かせる。
審査員のうち、2人を除く全員がネネを合格とするべきだと言うが、
ネネが黒人であること、低所得者層が住まう地域にいることなどを問題にして断固反対。
あれほどネネが憧れているマリアンヌも絶対に不合格だと主張するも、
少女の未来を奪ってはいけないと言われ、渋々ネネの入学を認める。
意気揚々と初日を迎えたネネだったが、「入学させたのは私ではない」とマリアンヌは冷たい。
明らかに黒人を蔑視する教師もいるし、一緒に入学した生徒たちもネネを小馬鹿にした態度で、
時には下品きわまりないいじめに遭ったりも。
そのたびに黙っちゃいないネネは相手に暴力をふるい、マリアンヌはそれを理由に退学させようとして……。
物怖じしないネネは傲慢に見えるときもあります。
けれど実際のところ、彼女がいちばん才能豊かで踊るのが上手。しかもひそかに練習を重ねています。
いじめに屈しない彼女だけど、あまりの扱いについに弱気になる日が来てしまう。
バレエ学校に通わせるのは大変だろうに、一貫して応援しつづける父親が格好いい。
母親も最初はバレリーナだなんてと反対するけれど、入学後は娘を後押しし、守ろうとする素晴らしい家族。
オペラ座のバレエ学校ともなると、いま踊れているかどうかのみならず、
どういう骨格の持ち主で将来どういう体型になるかも重視するようで、凄いなぁと思いました。
ネネの入学が決まったときに、同じ団地住まいの友人たちが「無理無理。私ら底辺の人間だよ」と言います。
一度帰ってきたネネがそんな友人たちに励まされて一緒に踊るシーンが◯。
ひとりで踊るシーンは圧巻で、おそらく天性のものがあるんじゃないかと思います。
これが実話ベースならもっと気分が高揚したと思われますが、実話ではないんですよね。
開かれた場所が増えるといいなぁ。