夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『矢野くんの普通の日々』

2024年11月26日 | 映画(や行)
『矢野くんの普通の日々』
監督:新城毅彦
出演:八木勇征,池端杏慈,中村海人,白宮みずほ,新沼凛空,伊藤圭吾,筒井あやめ他
 
キノシネマ神戸国際にて、前述の『対外秘』の次に。
最近は紙チケットの発券不要でQRコードを読み取らせる劇場が増えました。
劇場によっては繋がりにくい場合もあって、どうもキノシネマはそうみたい。
今度からここへ行くときはスクショを取ってから行くようにしよう。
 
田村結衣の同名漫画を『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(2023)の新城毅彦が実写映画化。
FANTASTICSの八木勇征主演と聞いてもFANTASTICSが何なのかを知りません。
FANTASTICS from EXILE TRIBEなんですね。八木くんはそこのボーカル担当だそうで。
 
高校生の吉田(池端杏慈)は毎日小学生の弟妹を心配しているせいか、周囲に困った人がいると放っておけない。
道路を渡ろうとしている老人、落し物を探しているらしき人、誰にでも手を貸しに走る。
 
人を助けていたせいで遅刻しそうになりつつなんとか間に合った新学期。
親友の泉(白宮みずほ)、メイ(新沼凛空)、田中(伊藤圭吾)やモテ男の羽柴(中村海人)と同じクラスになり、
吉田と羽柴は共に学級委員に選出される。
 
少し遅れて教室に入ってきた矢野(八木勇征)を見て、教師を含む一同は唖然。
矢野の右目には眼帯、そこらじゅうに傷を負っているではないか。
以降毎日どこかしら新しい傷が増え、その理由は転んだ、犬に噛まれた、物が落ちてきたなどなど。
 
そんな矢野を見て吉田は気が気ではなくなり、世話を焼きたいと思う。
自分と関わった人が巻き込まれるのは嫌だからとひとりでいることを選んできた矢野だったが、
実は「普通の高校生の生活」に憧れを抱いていると知った吉田は、
友人たちの協力を得て矢野を引っ張り出すのだが……。
 
試験前に一緒に勉強する、学校帰りにファミレスやカフェに行く、カラオケに行く。
どれもしたことのなかった矢野がひとつずつ夢を叶えていきます。
 
吉田と矢野は相思相愛、羽柴は吉田のことが好きで、泉は羽柴のことが好き。
人の想いには気づくのに、自分に寄せられている想いには気づきません。
ひそかに三角関係になったりしているのに、登場人物がみんないい子すぎる。
嫉妬から意地の悪い行為に走らないから安心して観ることができます。
 
能天気に明るい話というわけではなく、吉田には目の前で母親が事故死した過去があります。
また、矢野が眼帯を外さない理由も後にわかる、子ども時分のこんな体験は悲しいもの。
 
吉田の弟妹ふたりがすごく可愛くて面白く、今後もぜひ見たい子役です。
 
アオハルだねぇ。邪気がないこういう映画は気分がいい。

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『対外秘』

2024年11月26日 | 映画(た行)
『対外秘』(英題:The Devil's Deal)
監督:イ・ウォンテ
出演:チョ・ジヌン,イ・ソンミン,キム・ムヨル,ウォン・ヒョンジュン,
   キム・ミンジェ,キム・ユンソン,パク・セジン,ソン・ヨウン他
 
夕方、県庁前近くの日本料理店でジャズライブと懐石料理の会へ。
その前にキノシネマ神戸国際で映画を3本ハシゴすることにしました。
 
監督は『悪人伝』(2019)のイ・ウォンテ。
どこの国の作品であろうが、陰謀に満ち満ちた政界を描くサスペンスは面白い。
主演は悪人役も善人役もどちらも似合うチョ・ジヌン。これは善人か悪人か。
 
1992年の釜山。ノ・テウ大統領の政権下にある。
海雲台区に生まれ育った政治家チョン・ヘウン(チョ・ジヌン)は地元で圧倒的な人気を誇る。
このたび党の公認を受けて国会議員選挙に出馬することになったが、公示の2日前に党公認を外される。
党公認を外されては当選できるはずもなく、いったいどういう理由かと憤る。
 
それはヘウンが師と仰ぐ影の権力者クォン・スンテ(イ・ソンミン)が仕組んだことで、
ヘウンよりも扱いやすく自分の言いなりになる男を公認に据えるため。
承服しかねるヘウンは無所属で出馬することを決意するが、その資金がない。
 
そこでヘウンはスンテの極秘計画を記した「対外秘文書」を入手すると、
計画の公表前に土地を購入すれば大儲けできるからと、ヤクザのキム・ピルド(キム・ムヨル)に借金を申し込む。
ピルドからフィクサーのチョン・ハンモ(ウォン・ヒョンジュン)を紹介されると、
ヘウンは選挙で確実に勝つためにピルドの協力を得て動きはじめるのだが……。
 
英語タイトルが“The Devil's Deal”であるように、政治は悪魔との取引。
勝つためには金をばらまくのは当然のことで、脅迫なんて序の口、殺しにまで至ったりする。
金をどれだけ使えるかが勝負ですから、いくら根回ししようと金のある奴には勝てません。
ネタバレになりますが、投票箱そのものを入れ替えてしまうなんてのもアリなのですね。
 
政治家、ヤクザ、フィクサー、そして新聞記者
選挙の取材なんてしたくなかったのに上司から命じられて渋々出向いた若い女性記者(パク・セジン)が、
寄せられた情報をもとに特ダネを掴み、俄然やる気を出します。
しかし大物が裏にいれば、そういったネタもすべて潰されるどころか、命すら狙われる。
 
もとは善人だったはずのヘウンもすっかり悪事まみれの政治家になってしまう。
結局いちばん割を食ったのはヤクザだったりして、
最近キム・ムヨルをカッコイイと思っている私は、ピルドの末路にいたく同情しました。
 
世の中は汚く、人生は悲しい。
綺麗な政治はどこかにありませんか。

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