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『マスター 見えない敵』

2022年12月21日 | 映画(ま行)
『マスター 見えない敵』(原題:Master)
監督:マリアマ・ディアロ
出演:レジーナ・ホール,ゾーイ・レネー,アンバー・グレイ,タリア・ライダー,タリア・バルサム,
   エラ・ハント,ブルース・アルトマン,ジェニファー・ダンダス,ジョエル・デ・ラ・フエンテ他
 
2022年のアメリカ作品。
Amazonスタジオの制作で、Amazonプライムビデオにて配信中。
『ゲット・アウト』(2017)や『アンテベラム』(2020)がお好みだった方は楽しめると思います。
いや、「楽しめる」という言い方は語弊があるでしょうか。
 
ニューイングランド のエリート大学、アンカスターカレッジ。
黒人女性で初めて学寮長(=マスター)として就任したゲイルは、希望を胸に現地に乗り込む。
 
一方、黒人女子ジャスミンも地元の高校を首席で卒業して入寮するが、
新入生を歓迎すべく近寄ってきた寮生たちは、ジャスミンが302号室に入ると言うと嘲笑。
302号室に入った学生は自殺する運命にあるらしい。
 
学生たちの前で挨拶する新学寮長ゲイルは、マーガレット・ミレットの話をする。
マーガレットはその昔この地で魔女呼ばわりされて絞首刑に処された女性。
そのせいでアンカスターカレッジは呪われていると学生たちは信じており、
魔女への生け贄として毎年女学生が差し出されるのだという噂を知るジャスミン。
 
やがてジャスミンは英文学の黒人女性教授リヴから不当に扱われている感じるように。
レポートに酷い点数を付けられたジャスミンは、リヴのことをゲイルに訴える。
リヴとは友人のゲイルは、どのように対応すればいいものか悩むが、
本学でのリヴの終身雇用権を検討する学長たちにジャスミンの申し立てを伝えるのだが……。
 
ホラーはホラーなのですが、噂の魔女が姿を現すわけではありません。
ただ、ゲイルが住まう屋敷で妙な音がしたり、虫が涌いたり、そんな程度。
どれも屋敷の老朽化が原因に思えなくもないし、単なる風の音にも思えます。
だけど、そんな程度と言いつつ、それがめちゃくちゃ気味悪い。
 
何が起こっているわけでもないのに悪夢を見続けて苦しむジャスミン。
ルームメイトの白人女子アメリアとその仲間たちはジャスミンのことを笑い、
みんなで食べるピザ代を請求しても知らん顔。ケチくさいと言わんばかり。
あからさまな虐めではないけれどのけ者にされているのは明らかで追い詰められて行きます。
 
魔女の影に怯えるジャスミンに、ゲイルは言います。
敵は魔女じゃない、アメリカだと。
どこにいても同じだし、いつの時代も変わらないアメリカ。
悲惨な結末。アメリカは今もこうなのか。

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