『室町無頼』
監督:入江悠
出演:大泉洋,長尾謙杜,松本若菜,遠藤雄弥,前野朋哉,阿見201,般若,武田梨奈,水澤紳吾,岩永丞威,吉本実憂,
ドンペイ,川床明日香,稲荷卓央,芹澤興人,中村蒼,矢島健一,三宅弘城,柄本明,北村一輝,堤真一他
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
原作の垣根涼介には大藪春彦賞受賞作の『ワイルド・ソウル』のイメージしかなかったので、
へ〜、この人、時代小説も書いていたんだとこのたび知って驚く。
ウィキを読むと、作家デビューしたら10年後に時代小説を書くと決めていたとあります。
サラリーマンとして働くかたわらの作家業だったから、時代小説を書くため資料集めや言葉遣いを学ぶ時間が当初は足りず、
作家として専業で食べて行けるようになったら書こうと考えていたのだと。
監督は『SR サイタマノラッパー』(2009)で話題になってから15年以上経ち、
今ではあの頃が懐かしくなるほどメジャーな作品を撮りつづける入江悠。
しかし、娯楽大作ばかりかと思いきや、『あんのこと』(2023)みたいな作品もお撮りになるから面白い。
今から約560年前、室町時代中期が舞台。
歴史の記録にはたった1行というのか1箇所だけ、「大将」として名前が登場する人物が主人公。
もともと才蔵は武家に育ったが、父親が亡くなってからは食うに困って高利貸しに手を貸していた。
それに耐えられなくなった才蔵が暴れまわっていたところを洛中警護の任に就く骨皮道賢(堤真一)に捕らえられた。
そのような役を幕府から任されていながら、悪党の頭目でもある道賢と兵衛は悪友。
道賢の手下に斬られそうになっていた才蔵を兵衛が買ったというわけだ。
武家育ちの才蔵に武術の才能ありと見た兵衛は、自分の師匠である棒術の達人・唐埼の老人(柄本明)に才蔵を託す。
兵衛に一生ついていくと宣言したばかりなのに、突如として正体不明の老人のもとへ放り込まれた才蔵だったが、
逃げ出さずに修行に励むと、1年後には世間にその名が轟くほどの兵法者となる。
兵衛と才蔵は再び合流し、悪政に苦しむ民衆たちと共に一揆を企てて……。
物の見事に人が死んでゆくわりには音楽が柔らかめゆえ、悲壮感が抑えられています。
敵対する立場でありながらお互いを尊重する兵衛と道賢には俠気を感じるし、多少なりともグッと来るけれど、
はたして大泉洋がピッタリの役だったかを考えると、ちょっと違うような気がしてしまう。
時代劇ではなくて現代の、シリアスすぎずにちょっと笑える作品の彼のほうが私は好きだなぁ。
原作は兵衛ではなくて才蔵が主人公に描かれる物語なのですね。
日本版“ベスト・キッド”にするほうがよかったってことはないですか。
それだとパクリだと言われるか。でも面白そうなんですけど。