『渇水』
監督:高橋正弥
出演:生田斗真,門脇麦,磯村勇斗,山崎七海,柚穂,宮藤官九郎,宮世琉弥,吉澤健,
池田成志, 篠原篤,柴田理恵,森下能幸,田中要次,大鶴義丹,尾野真千子他
前述の侍ジャパンのドキュメンタリー作品を観た直後、本作を。
同じく109シネマズ大阪エキスポシティにて。
さっきまで大入りの客席で鑑賞していたのに、こちらは私を含めて客ふたりだけ。(--;
原作は河林満の同名小説。高橋正弥監督の作品には私は初めてお目にかかります。
相手が請求に応じない場合は給水停止を執行する仕事。
岩切と共に回る後輩職員の木田拓次(磯村勇斗)はなかなかこの仕事に慣れないようで、
事務的に淡々と停水を執行する岩切を見て驚くこともしばしば。
日照りが続いて県内全域で給水制限の措置が取られるほどの夏、
有希の夫は蒸発したらしく、有希は長女・恵子(山崎七海)と次女・久美子(柚穂)を家に残して街へ稼ぎに。
そんな家庭の停水はさすがに岩切もためらうものの、規則は規則、譲れない。
有希が不在の家で浴槽やバケツにありったけの水を貯めるように娘たちに指示し、停水を執行するのだが……。
水道料金の滞納者にもさまざまなタイプの人がいるようです。
ここに登場する人々はたいていが「払えよ」と言いたくなるタイプ。
水道料金は払わないけどエアコンをガンガンに効かせていたり、
警備会社と契約していながら水道料金は滞納して、親や恋人に払わせるろくでなしだったり。
有希にしても、自分がどれだけ大変かを口にするけれど、楽して稼ぐことしか考えていないふうに見えます。
自分の面倒を見てくれる男が現れれば、平気で育児放棄するような母親で。
岩切自身も妻子と別居状態で、生活に苦労はしていなくとも気持ちは虚ろ。
息子のことが気になって、妻の和美(尾野真千子)のもとを訪ねますが、反応はよくない。
彼は水を貯めることで自分の気持ちを満たそうとしているように見えます。
キレた岩切が幼い姉妹と一緒に小さな「テロ」を起こすシーンはとても良い。
だけどふと思う。何も変わっていないよねって。
最後まで惹かれて観ましたが、強烈な印象は残りません。
とても優しいから。甘いともいえるかもしれません。
実社会で同じ立場に置かれている子どもたちはどうすればいいのでしょう。